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新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生から2年以上が経過した現在、企業リーダーがビジネスの本質に関わる問題に集中し、コロナ対策に割く時間やエネルギーを減らしたいと考えているのも無理はない。実際、市中感染率が低水準に留まっている米国では、対策を撤廃する企業が増えている。しかし、世界にはいまだ感染者数が高止まりしている地域があり、新たな変異体出現の可能性、そしてウクライナ戦争によるグローバルリスクの拡大から、今後も感染の波が繰り返し訪れるおそれがある。本稿では、従業員の安全を守り、ビジネスの混乱を避けるために、オミクロン変異体の記憶が新しいいまこそ、企業リーダーが取るべき4つのアクションについて概説する。


 米国や他の多くの国々の企業リーダーは、一息ついているところだろう。新型コロナウイルスの免疫を獲得した人々が増え、新たに有効な治療法が登場し、検査やワクチンも普及した結果、新型コロナウイルスのオミクロン変異体「BA.1」の流行が下火になったからだ。

 しかし、オミクロン変異体「BA.2」とその派生株が主流になり、過去の感染やワクチン接種によって獲得した免疫が弱まりつつあることを考えれば、パンデミックが終息したとはいえない。企業は、次なるパンデミックによっていかなる影響がもたらされても対処できるように、あらかじめ備えておく必要がある。

 本稿では、今後、市中でアウトブレイクが発生した場合、従業員の安全を守り、ビジネスの混乱を避けるために、いま企業リーダーが取ることのできる4つのアクションについて概説したい。

パンデミックは終わっていない

 欧州では2022年3月、新型コロナウイルスの感染者数が急増し、アジアや北米の一部でその数は高止まりしている。米国当局は、2022年秋の感染拡大に警鐘を鳴らしている。一方、ゼロ・コロナ政策を堅持し続けている最後の国、中国では、感染の抑え込みに苦労している

 それだけではない。新型コロナウイルス感染症の新たな波やアウトブレイクが、今後も繰り返し訪れる可能性を恐れるべき理由は、ほかにもある。

 新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルス「SARS-CoV-2」は、ヒトから他の哺乳類へ感染し、他の哺乳類からヒトへ感染する可能性もある。そのようにして感染を繰り返す過程で、ウイルスが変異を起こすおそれがある。さらに、どのような変異が起きるか予測することは難しい。

 ウクライナ戦争による避難民も、感染のグローバルリスクを増大させる要因となる。避難民の数は520万人を超える。彼らは、新型コロナウイルスの検査やワクチン接種を受ける機会が少なく、防疫や隔離もしづらい。同時に、新型コロナウイルスに対して獲得した免疫が弱まったり、既存のワクチンが効かない変異体が出現したりすれば、感染拡大の可能性は高まる。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まってから2年以上が経過し、人々の大半は「コロナ疲れ」に悩まされている。それは、経営幹部も例外ではない。彼らは、ビジネスの根幹に関わる問題に集中し、新型コロナ対策に割く思考、時間、そしてエネルギーを減らしたいと考えている。

 しかし、だからといってパンデミックを黙殺することは、適切なやり方ではない。必要なのは、感染拡大に対処できるようなシステムを構築することだ。そのシステムには、以下の要素を含める必要がある。