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部下の仕事に対するエンゲージメントや組織に対するコミットメントを高めるために、あなたは思いやりのあるマネジメントを心がけているかもしれない。しかし、上層部の理解がなかった場合、どう対応すればよいのか。実際、従業員に過重労働を強いたり、非現実な成果を求めたりする組織はあまりに多い。本稿では、組織の理解が得られない中で、思いやりのあるマネジメントを実現するための6つの戦略を紹介する。


 思いやりのあるマネジャーの下で働く従業員は、仕事に対するエンゲージメントが25%高く、組織へのコミットメントが20%高く、燃え尽きる可能性が11%低いことが、調査によって示された

 しかし、あまりにも多くの組織が、まだその効果を理解していないようだ。いまだに硬直したヒエラルキーの中で、従業員を人間というより単なるリソースとして扱っている。過度の長時間労働を強いて、非現実的な成果を求め、個性を無視して全員がまったく同じ人物であるかのように扱っているのだ

 あなたが思いやりを持ってチームを管理したいとしても、上層部がその考え方を理解していなかった場合、どうすればよいだろうか。以下で紹介する6つの戦略は、思いやりのあるリーダーになるのに役立つ。場合によっては、思いやりに欠ける同僚を説得し、「もっと上手にマネジメントできる」と思わせることもできるかもしれない。

 ●思いやりと共感の違いを理解し、確固たる意思を持って行動する

 思いやりの中には「ソフトスキル」と呼ばれるものもあるが、よりふさわしい表現は「アクティビスト」だ。実用的な定義では、思いやりとは誰かが奮闘していたり、苦悩していたりするのを見た時に、その痛みや苦しみを和らげるために行動を起こしたい、という気持ちになることだ。

 行動して変化を起こしたいという気持ちが、思いやりと共感の違いだ。たとえば、オフィスへの回帰を求められる現状に対して、自分はチームメンバーを困難に陥らせていると気の毒に思うことは、共感といえるかもしれない。しかし、彼らがより快適に働けるよう勤務体制を変更するための手段を講じるのは、思いやりがあるといえる。行動が両者の違いを生むのだ。

 ●自己認識と自己調整の模範を示す

 あなたの振る舞いが基準を決める。新しい情報を得た時にどのように立場を変えるか、プレッシャーにどう対処するか、自分たちのために他のリーダーと交渉しているかどうかなど、従業員はあなたの行動に注目している。

 また、あなたが優先順位を付けたり、厳しい決断を下したりする意思と能力を持ち、責任を負い、自分自身のミスに対処し、必要に応じてサポートを求めたり、許しを請うたりすることができるかどうかも見ている。

 それゆえに、あなたが他部門に影響を及ぼすことはできないとしても、自分が率いるグループの中で、適切な振る舞いとは何かを示す模範になることはできる。

 筆者のクライアントが、チームメンバー2人の争いを解決するために、介入を試みたことがある。争いの最中、彼女は片方のメンバーを怒らせてしまったことに対して、話し合いの中で反省を示し、許しを請い、今後自分がどのような行動を心がけるかを説明した。

 数カ月後、怒らせてしまったメンバーは同僚に感謝を示し、みずからの過ちをまっすぐに受け止めて対処しようとするリーダーはこれまでいなかった、と彼女の行動を認めた。そして、彼自身の対人行動も改善され始めた。