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オペレーション効率の追求が企業成長に直結した時代は、チーフ・オペレーティング・オフィサー(COO)の能力が組織の成功を左右した。しかし、不確実性がますます高まり、業務の効率化だけで持続的成長を実現することはできない。いま求められているのは、社会の要求に応える製品・サービスを提供し続けるために、プロジェクトを適切に管理し、着実に推進する能力である。本稿では、その責務を担うチーフ・プロジェクト・オフィサー(CPO)に焦点を当て、CPOが組織で果たすべき役割や、自社でCPOを採用する際の留意点などを解説する。


 オペレーションの自動化が大幅に進み、変革のイニシアチブやプロジェクトワークが増えるにつれ、経営陣の中で新たな役割が台頭しつつある。組織の継続的な変革と重要な戦略的イニシアチブを指揮し、それを成功に導く責任を、一人の経営幹部に集約する流れが始まっているのだ。

・2022年1月、ケイティ・マレンはJCペニーのチーフ・デジタル・アンド・トランスフォーメーション・オフィサーに任命され、eコマース事業の成長を主導し、消費者のJCペニー体験の再構築に取り組んでいる。また、彼女は企業戦略と同社の変革アジェンダを推進する責任も負っている。

・世界トップクラスのeスポーツ・ソリューションプロバイダーであるGフィニティは2021年4月、トーマス・プレイシングをチーフ・リベニュー・アンド・トランスフォーメーション・オフィサーに任命した。CEO直属の立場で、同社におけるすべての収益創出と技術変革を監督している。

・ハイネケンN.V.のステイシー・タンクは2020年後半、チーフ・コーポレート・アフェアーズ・アンド・トランスフォーメーション・オフィサーに任命された。彼女の役割は、同社の戦略的アジェンダにおける重要な変化と変革イニシアチブの調整をサポートすることだ。

 これは、多国籍企業や営利団体に限った話ではない。ヘルスケア分野の改善をめぐり、政府調達の受注を競っている非営利団体のCEOは、筆者宛の文書で次のように記した。

「小規模の経営チームにチーフ・プロジェクト・オフィサーを加える予定だ。この人物は、新たに再編されたPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)を率いるだけでなく、今後1年間で実施する最も重要なプロジェクトの一つ、すなわちプロジェクトの成功に必要な体制と文化の構築も主導することになる」

 ここで挙げたのは、ほんの一例にすぎず、似たような役割を創設した組織は数多くある。彼らの責任範囲や正式な肩書きはばらばらだが、中心となる任務は同じだ。組織内の主要な戦略的プロジェクトを推進し、プロジェクトポートフォリオを整理して成長と価値創造を加速させ、サステナビリティとダイバーシティ関連の計画を達成することだ。

 筆者は、この役割に就いていることを示す、わかりやすい呼称を提案したい。「チーフ・プロジェクト・オフィサー」(CPO:最高プロジェクト責任者)である。本稿では、CPOがもたらすメリット、自社にCPOが必要かどうかを判断する方法、そしてCPOを採用するコツについて解説しよう。