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難易度の高い課題に直面した時、クリティカルシンキング(批判的思考)が役立つことは知られている。決断を下したり、解決策を見つけたりするために、問題の分析や効果的な切り分けを行うスキルだ。クリティカルシンキングの核を成すのが、優れた質問を投げかける能力だと、筆者は指摘する。優れた質問は、みずからの好奇心と向き合い、相手の話にじっくりと耳を傾け、問題を掘り下げていく中で生まれる。本稿では、独自性があり、効果的かつ深い質問を考え出すための6つのアプローチを紹介する。


 あなたはいま、仕事で新たな難問と格闘しているところだろうか。それとも、最近昇進したばかりで、自分の新しい職務について理解しようとしながら、新鮮な視点をもたらそうとしているだろうか。あるいは、新しい職場に移り、自分よりも経験豊富な同僚と協力して、職場に大きな貢献を果たす方法を模索しているところだろうか。

 いずれの場合も、クリティカルシンキング(批判的思考)が成功のカギを握る。すなわち、決断を下したり、解決策を見つけたりするために、問題の分析や効果的な切り分けを行う能力だ。そして、クリティカルシンキングの核を成すのが、深みがあり、独自性を持ち、効果的な問いを立てる能力である。

 例を挙げよう。元ハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン M. クリステンセンは、過去30年間で最も偉大な経営思想家といってよいだろう。彼が執筆した論考「プロフェッショナル人生論」は『ハーバード・ビジネス・レビュー』のベストセラーであり、筆者がこれまでに読んだ自己啓発の論文の中でベスト5に入る。また、イノベーションとディスラプションに関する彼の理論は、ビジネスの世界を一変させた。

 筆者とクリステンセンとの出会いの中で最も記憶に残っているのは、彼がハーバード・ビジネス・スクールで行った講演だ。クリステンセンは、自分がMBAの学生だった数十年前、独自に編み出した方法論を話してくれた。

 クリステンセンが優れた質問をする方法を身につけたのは、ハーバード・ビジネス・スクールに在籍していた時だったという。クラスメートの優秀さに感服した彼は、授業中に洞察に満ちた質問が出ると、ノートにそれを書き留めるようにした。

 クリステンセンは帰宅するとノートを開き、その学生がどのようにして、そしてなぜその質問をしたのかをじっくりと考えた。好奇心あふれる彼は、まず人々が最も優れた質問を考え出すプロセスを研究することで、将来の洞察につながる基盤を築いたのである。

 このように好奇心と徹底的に向き合うことで、新たな状況をより的確に把握し、難易度の高い問題を解決することができる。以下、どれほど難しい問題にも的確な質問をする能力を高めるために、いくつかの方法を紹介しよう。