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気候危機は地球や自然にとって重大な脅威であるだけでなく、企業のビジネスにも実質的なリスクをもたらす。この問題を放置していれば、有能な人材を惹きつけたり、リスクを管理したり、イノベーションを創出したりする能力が損なわれ、「ゼロカーボンの未来」で成功することは叶わない。本稿では、いますぐ行動を起こすために必要なステップを紹介し、具体的な措置を論じる。


 温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボン経済」に向けて、急速な移行を求める声が高まっている。しかし、世界各地で繰り広げられる抗議活動や、気候危機を訴える若者のストライキだけで、変化を起こすことはできない。企業がアクションを起こすことが必要だ。

 現在の危機的状況が、地球にとって極めて深刻な脅威となるだけでなく、自社のビジネスにも重大なリスクもたらすことを、組織は認識しつつある。

 米商品先物取引委員会(CFTC)のロスティン・ベナム委員(現委員長)は2019年6月、気候変動がもたらす金融リスクは、2008年のサブプライム住宅ローン問題がもたらした金融リスクに匹敵すると語った。2019年3月には、気候災害によりすでに8億4700万ドルの損失を被っていたAT&Tが、今後30年間にわたり自社のインフラに打撃を与えるおそれがある気候変動現象を予測するよう、米国エネルギー省(DOE)に依頼した。

 自社の戦略に炭素排出削減を取り入れている企業は、このような種類のリスクが自社に与える影響を軽減するだけでなく、恩恵を受けることもできる。すなわち、イノベーションの増加、競争力の拡大、リスクマネジメントの向上、事業成長の加速をもたらすのだ。

 すでに世界900社以上(時価総額の合計17兆6000億ドル)が、ウィ・ミーン・ビジネスの「テイクアクション」キャンペーンを通じて、成長と排量削減を実現する事業戦略を構築している(ウィ・ミーン・ビジネスは、筆者がCEOを務めた非営利団体連合だ)。

 このうち560社以上が科学的根拠に基づいた野心的な排出目標を定めることを、175社以上が事業の使用電力を100%再生可能エネルギーに移行することを約束している。さらに、2050年までにネットゼロエミッション(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目指す気候変動政策を支援することで、経済全体の移行を加速するために、企業はその影響力を行使し始めている。自社のサプライチェーン全体に気候変動対策を求める企業もある。

 あなたの組織も、この問題解決に向けた行動に加わる責任がある。それをやらなければ、有能な人材を惹きつけたり、リスクを管理したり、成長に向けたイノベーションを創出したりする能力が損なわれるだろう。

 ゼロカーボンの未来でビジネスを成功させるために、企業は具体的な措置を講じることができる。以下、成功に向けて実践すべきいくつかのステップを紹介しよう。