●早期から頻繁に学習する

 多くの組織は、新入社員が着任して、ある程度落ち着いてから、能力開発の機会を提供しがちだ。しかし、入社直後に学習の機会を提供することで、彼らの会社における体験にはるかに深いインパクトを与えることができる。

 物流企業のトラックストップ・ドットコムは、オンボーディングのプロセスに能力開発を組み込むことで、早い段階から従業員の能力開発に取り組んでいる。新人研修の1日目、新入社員はトラックストップのミッションやこれまでの歩みについてディスカッションを行う。2日目は、丸1日を自己発見に費やす。この時は必要なスペースやツールも提供される。

 同社の最高ピープル・アンド・カルチャー責任者を務めるビクトリア・ロバーツは、「丸1日かけて、パートナーはMBTI(マイヤーズ=ブリッグズタイプ指標)と呼ばれる性格診断テストを受け、自分がどのような性格類型に分類されるかを発見するだけではない」と、筆者に語った。「さらに行動ベースの分科会、思慮深いディスカッション、そこで学んだことを活かすための行動計画を通じて、双方向的な体験をする」

 従業員はこの新人研修での経験を、マネジャーとの日々の交流に活かしていく。マネジャーと一緒に「自分のモチベーションは何か」「どうすればマネジャーと協力し合えるか」といった問いの答えを出し、その過程で個人的なつながりを構築するのだ。

 ロバーツによれば、トラックストップ・ドットコムの目標は、従業員が「自身の能力に見合う業務を通じて、自分が重要な役割を果たしていると感じ、実力を最大限に発揮できていると思いながら仕事に臨める」ことだ。

 リンクトインは、統合化されてインパクトの大きな能力開発プログラムを定期的に実施していることで知られる。同社は従業員に対して、学習する機会を頻繁に提供している。

 毎月実施される「インデー」(InDay)は、従業員が「自分と会社と世界」について集中して考えるイベントだ。毎月テーマが設定され、従業員は自分にとって最も都合のよい方法で参加できる。さまざまなアクティビティが予定されているので、そこに参加してもよいし、自分自身で取り組んでもよい(自分は十分に支援されていると実感している場合は、まったく参加しなくてもよい)。

 インデーは毎月開催されるため、新入社員は入社直後から、同僚とともに自分探しをする機会を確実に得られる。リンクトインは実質的に、能力開発をオンボーディングに組み込んでいるのだ。

 筆者は2冊目の著書の調査をしている時、ウェルネスがテーマのインデーに参加させてもらった。朝のメディテーション(瞑想)クラスから、カントリー音楽に合わせたラインダンスクラス、ウェルネスフェアに参加したが、そのような能力開発の機会は間違いなく、個人的な経験になった。あらゆる人に「何か」が用意されていたのだ。

 リンクトインの年次報告書「2018 ワークプレース・ラーニング・レポート」によれば、驚くべきことに「従業員の94%が、自分のキャリア開発に投資してくれた会社には、より長く留まる」という。従業員が学習し、能力を高めるうえで、時間の欠如が最大の障害となる。リンクトインの戦略は、能力開発の時間を従業員のスケジュールにあらかじめ組み込むことで、この問題に対処している。