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職場におけるジェンダーの問題に対して、さまざまな施策が講じられる一方、給与やリーダーシップチームに占める女性の割合などの重要な指標は、依然として男女間に格差が存在していることを示している。本稿では、特に「女性がトップマネジメントに昇進すると何が起きるか」「いまも女性従業員の妨げになっている要因は何か」といった観点から示唆に富む最新研究を取り上げ、女性が職場で置かれている現在地について論じる。


 2021年、米国の労働力人口におけるジェンダーギャップは過去最小を記録した。

 しかし、当然ながら、給与、リーダーシップのリプレゼンテーション(特定集団にジェンダーや人種などの代表が存在することやその割合)、リソースへのアクセス、その他多くの重要な指標において、実質的なジェンダー格差は存続している。私たちは、職場におけるジェンダー平等のさまざまな側面を、どのように理解すればよいのか。

 このような微妙な問題を理解するには、女性が職場で直面する特有の問題を深く理解することを目的とした、多様な学術分野の広範な研究に目を向けることが役に立つ。新たな研究や発表間近の研究は具体的に、女性がトップマネジメントに昇進すると何が起きるか、いまも女性従業員の妨げになっている要因は何か、そして現代の職場に対するその他の重要な疑問について探求している。

 これらのトピックに関する、非常に興味深く、洞察に満ちた最近の研究結果の一部を紹介する。

女性がトップになると何が起きるか

 組織の上級職におけるジェンダーリプレゼンテーションを改善するには、より公平な昇進と能力開発に対する投資が重要であることは、これまで幾度となく論じられてきた。しかし、実際に女性が組織のトップに立つと何が変わるのか。複数の新たな研究論文が、この疑問のさまざまな側面を探っている。

 ●ジェンダーステレオタイプに基づく言葉の使用頻度が減る

 ある研究チームが機械学習を用いて、企業内文書4万3000件を分析したところ、女性をシニアリーダーシップに登用した企業では、ジェンダーステレオタイプに基づく言語の使用が減少することが明らかになった。この結果は、企業が女性リーダーを採用すると、組織全体の文化に極めてポジティブな影響を与えることを示唆している。

 ●トップマネジメントチームの女性は収入が少ない

 一方、別の研究で1500社の給与データ20年分を利用して、女性リーダーが給与の公平性にどのような影響を及ぼすか調査したところ、およそ楽観できない結果が示された。トップマネジメントチームの(男性ではなく)女性の収入を、CEOが男性の場合と女性の場合で比較すると、CEOが女性の場合のほうが少なかったのだ。

 ●女性リーダーが道徳上の異議を唱えると報復を受けやすい

 別の研究では、従業員の非倫理的行為に対処する組織能力に関して、女性のリーダーシップが与える影響を調べている。米国の連邦政府職員3万3000人以上を対象に行った調査データの分析を含めて、4つの研究を行った結果、リーダーの立場にある女性が、問題のある態度や行為に対して道徳上の異議を唱えた場合、男性に比べて報復を受ける可能性が高いことが明らかになった。

 組織がこの不均衡に対処するには、報復行為に積極的かつ公正に対処し、職場で倫理的問題を目撃した時には声を上げるよう全従業員に奨励すべきだと、研究者らは指摘している。

 ●危機的状況にある企業ほど女性リーダーを登用する

 さらに、16年間にわたる役員人事2万6000件を分析した結果、「ガラスの崖」(成功する見込みのないトップリーダーの地位に女性が登用されること)の概念を支持するような新たな証拠が見つかった。

 この研究では、危機的状況にある企業は、危機的状況にない企業と比べて、女性を経営幹部に登用する割合が50%高いことが明らかにされた。それらの人事は、適切な意図に基づくものだったかもしれないが、研究データは、女性は成功する確率が低い職務に登用される傾向が強く、最終的に失敗するよう仕向けられている可能性があることを示唆している。