SDGs/ESG経営を支えるテクノロジー

――Society 5.0、SDGs、そしてESG経営を進めていくには、テクノロジー面ではどのような要素が必要となるのでしょうか。

江﨑 互いにつながり、データを共有して活用・連携可能な水平統合型モデルへ移行する必要があると考えています。従来のシステムは独立して構築・運用され、他システムとデータ共有することが難しい。こうした垂直統合型モデルの弊害は「データの囲い込み=サイロ化」であり、DX(デジタルトランスフォーメーション)やビッグデータ解析の大きな障壁にもなっています(図1)。

図1「垂直統合型から水平統合型への変革」

画像を拡大
水平統合型は、Society 5.0のベースにある考え方。クラウドの持っているアジリティ、接続容易性を生かしながら、企業間、業界間をつないでいく。垂直統合型から水平統合型への変革は、システムだけではなく、ビジネスモデルに対する要請でもある。

浦川 経団連が2020年5月に提言した「協創DX」でも、垂直統合型から水平統合型へのビジネスモデル変革の必要性を明確にしています。大企業が自社一社のためにピラミッド型に組み上げた産業構造を引きずっていては、日本経済に未来はありません。情報共有と相互連携が可能なプラットフォームへの移行が不可欠です。

損害保険ジャパン 取締役専務執行役員CIO SOMPOシステムズ 取締役会長
浦川 伸一
立教大学社会学部卒業後、日本IBMを経て、2013年に損保ジャパンおよび日本興亜損保執行役員CTOに。損保ジャパン日本興亜取締役常務執行役員CIOなどを経て、2020年から現職。金融領域と最新テクノロジーに関して幅広い経験とナレッジを持ち、日本経済団体連合会DXタクスフォース座長、立教大学大学院客員教授も務める。

――Society 5.0で求められる水平統合型のプラットフォームの実現に、クラウドはどのように役立ちますか。

江﨑 クラウドのメリットには、「効率性の向上」「柔軟性の向上」「技術革新対応力の向上」「サイバーセキュリティーの向上」「人件費を含む固定資産の削減」などがあります。SDGsの観点では、エネルギーセービング効果も大きく、多面的な効果をもたらすのがクラウドなのです。Society 5.0では、未来社会のコンセプトとして「クラウド・バイ・デフォルト」を打ち出しています。情報システム構築に際してはクラウドの利用を前提(第一候補)と考えるべきだという原則です。

――損保ジャパンはクラウド活用の先進企業と伺っています。どのようなメリットを高く評価していますか。

浦川 メリットの一つは、目覚ましいスケーラビリティーです。従来は、1年中で処理が一番多い日のためにサーバーを用意するのが当然であり、普段はCPU使用率10~15%などというシステムを構築・維持してきました。ところがクラウドでは、ユーザートランザクションのピークが突然来ても、コンテナ技術により秒単位で一気にスケールできるようなサービスも登場しています 。

 グーグルでは、企業がサーバーを自社運用するオンプレミスから同社パブリッククラウドへ移行すると、最大85%の省エネ効果を達成できるという試算を出しています。これは、実際にクラウド移行を進めている私たちから見ても、大げさな数値ではありません。