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ブランドがライバルと差別化を図るために、相手のブランドを批判したり、自社の優位を強調したりする手法は、マーケティング活動として一般的だ。しかし、分断を煽るようなメッセージが蔓延する現代において、ライバルを称賛するメッセージを発信することが、ブランドの好感度を高め、ひいては売上げの向上につながる可能性があると明らかになった。本稿では、さまざまな業界のブランドを対象にした一連の実験結果から、競合ブランドを称賛することの価値を論じる。


 ブランドにとって、競合とどのように関わるのが最善だろうか。ブランドのマーケティング活動はたいてい、自社の強みだけを強調することに注力し、ライバルを認めることはしない。競合ブランドについて公の場で触れる時は、相手を批判するのが一般的だ。

 たとえば、2000年代後半にアップルが制作したテレビ広告では、スーツ姿の堅苦しいPCユーザーと、カジュアルな服装で若々しいマックユーザーを対比させた。ペプシとコカ・コーラが、互いを標的に挑発的な比較広告を展開した「コーラ戦争」は何十年も続いた。低アルコールビールをめぐる戦いは、現在も進行中だ。

 このようなアプローチを実践したくなるのは理解できる。しかし、それが唯一の選択肢というわけではない。

 たとえば、任天堂が家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」を発売した時、ライバルであるソニーの「プレイステーション」とマイクロソフトの「Xボックス」は祝福のメッセージを発表した。オレオは、ライバル商品のキットカットを絶賛した遊び心あるメッセージをツイッターに投稿し、『ニューヨーク・タイムズ』紙は紙面にわざわざ全面広告を掲載して、他の信頼性のあるニュースメディアも参照するよう読者に呼びかけた。

 現代の消費者は、分断を煽るような辛辣なメッセージにうんざりしている。そのため、このように優しく前向きなメッセージが消費者に好感を持たれるのは、容易に想像がつく。

 しかし、当然ながら疑問は残る。ライバルを褒めることは、自社の収益性を損なわないか。あるいは、このようなアプローチを実践しつつ、競合に打ち勝つことは可能なのか。