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HBR Staff/3DSculptor/Yagi Studio/Getty Images

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは働き方を大きく変え、多くの人々に思いがけない恩恵をもたらした。しかし、私たちを大量のミーティングやメールのやり取りから解放するどころか、むしろ悪化している。その原因は、働き方の文化を変えられなかったからだ。筆者らは、スマートテクノロジーを上手に活用することで、この状況を好転させ、仕事に人間性を取り戻すことができると主張する。


 グレート・レジグネーション(大退職時代)の到来は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックがきっかけとなったわけではなく、パンデミックによってその規模が極めて大きくなったといえる。

 労働者たちが、狭い部屋、カウンターの中、組立ライン、車の運転席など、自分たちの職場に急いで戻ろうとしない直接の原因は、疑心暗鬼、柔軟性に欠ける勤務形態、非現実的な仕事量などが当然となっている働き方の文化にある。

 コロナ禍で必要とされたバーチャルかつ柔軟な労働環境は、多くの人々に思いがけない恩恵をもたらした。しかし、常時接続の文化とテクノロジーが確立されたことで、四六時中課せられる大量のタスク、ひっきりなしに開かれるミーティング、メールの猛攻撃から、人々を解放するには至らなかった。

 だが、デジタル技術の次の波、いわゆる「スマートテクノロジー」は、これまでと異なり、このような傾向を逆転させる可能性とパワーを秘めている。スマートテクノロジーは、私たちの人間性を奪うのではなく、むしろ仕事に人間性を取り戻す助けとなる。

 筆者らの著書The Smart Nonprofit(未訳)では、スマートテクノロジーを「これまで人にしかこなせなかった仕事を代行し、仕事の自動化を実現する人工知能やその他の高度なデジタル技術」と定義した。スマートテクノロジーは、人の代わりに、そして人のために意思決定を下すのだ。

 スマートテクノロジーと労働者の利益は相反し、人間と機械が直接競合すると考える人もいる。しかし、それは誤った二分法であり、無知で想像力に欠け、明らかに間違っていると筆者らは考えている。スマートテクノロジーと人間は競合するのではなく、補完し合う。ただし、そのテクノロジーをうまく活用すれば、だ。

 その一部が自動化に適している仕事はあるが、スマートテクノロジーに完全に置き換えることができる(あるいはそうすべき)仕事は、ほとんどないだろう。自動化がよりよい変化をもたらすのは、労働者の仕事経験に関するところだ。

 スマートテクノロジーは同じ仕事をより早く、より少ない人数で行うのではなく、仕事を再設計してワークフローを再構築することで、人間関係の構築、直感的な意思決定、共感、問題解決など、人間が特に得意とする仕事に集中する機会を生み出す。