Illustration by Barbara Gibson

多くの企業が現在、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)に関する、さまざまな取り組みを推進している。黒人歴史月間のようにDEIを象徴する出来事がある時にだけ連帯を示すのではなく、組織内に存在する不公平を直視し、解決に向けて行動しなければならない。そのためにはまず、従業員のフレキシブルワークを恒久的に認めることが必要だと、筆者らは主張する。本稿では、フレキシブルワークがDEI戦略に欠かせない理由を説き、最も懸念される近接性バイアスの問題にどう対処すべきかを論じる。


 2022年の黒人歴史月間[編注1]を記念して、企業のリーダーがこれまで以上に公の場で「連帯」を表明する様子を目にした。従業員のボランティアデーを設定したり、社内でワークショップを開催したり、地域団体や非営利団体に多額の寄付をしたりするリーダーもいた。

 このような取り組みが、ブラック・ライブズ・マター運動や構造的人種差別の問題に対する意識の高まりを受け、近年、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂)にコミットしてきたことを示すためであるのは間違いない。

 しかし、企業が黒人の功績を喧伝したり、黒人の運動を支援したりする一方で、自分たちの組織では不公平に苦しむ有色人種の存在を無視しているなら、その行動は「パフォーマティブ・ウォークネス」[編注2]のように感じられる。黒人歴史月間以外の11カ月間はほとんど行動していないのであれば、なおさらだ。

 リーダーが一過性の、あるいは表面的なDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)を示すだけでなく、有色人種の従業員を積極的に支援する取り組みに投資することを、筆者らは望んでいる。そして、リーダーがまずできることは、パンデミック時代のフレキシビリティ(柔軟性)を、すべての従業員に対して恒久的に提供することだ。

 コーポレートアメリカは、以前からモノカルチャーだった。2019年の米国労働統計局の報告書によれば、米国全体の労働力の77%が白人であり、白人は黒人やヒスパニック系の従業員に比べて、マネジメント職に就く確率が著しく高い。トップ層は、さらに深刻だ。フォーチュン500企業のCEOの93%が白人で、最高経営幹部の3分の2が白人男性である。

 パンデミック前は、多くの企業が(白人が圧倒的多数を占める)オフィスで直接顔を合わせることに高い価値を見出していた。そのような環境では、特に有色人種にとって不公平が生じる。

 その原因は、ソーシャルネットワーキングのイベントや、会社のハッピーアワーから生まれる人間関係やコネクションによって、業績評価に非公式のメカニズムが働き、透明性が欠けてしまうからだ。仕事でも、仕事以外でも顔を合わせることを期待されるのは、黒人従業員にとって特に負担になることが多かった。