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コロナ禍により、私たちは「働くことの意味」を根本から考え直すことが求められた。これからのキャリアで何をなすべきか、自分が心の底から求めているものが突如として明確になった人も少なくない。同僚が「意味のある仕事」や「仕事の意義」を求める一方、「自分にはそれがはっきりわからない」と不安を抱いている人もいるだろう。しかし、自分が進むべき道が見えていなかったとしても問題はなく、むしろ最大の競争優位になる可能性があると、筆者らは主張する。本稿では、漠然とした状態を逆手に取り、競争力に変える5つの方法を紹介する。


 昨今、新型コロナウイルス感染症のパンデミックがもたらした実存的危機や、有害な職場に見切りをつけた従業員の大量離職が話題になっている。

 実際、最近の調査によれば、米国人の半数以上が「雇用主は自分の問題に無関心だ」と感じることを理由に転職を検討しており、今後も柔軟な働き方を自分のワークライフの軸として定着させたいと考えているようだ。さらに、自分がこの先のキャリアに何を求めているのか、あるいは何を求めていないのかが、突如として明確になった人もいる。

 しかし、それが明確でない時は、どうすればよいのか。一般的な倦怠感や不安感だけでなく、自分が次に何をやりたいのか、もっと深いところで迷いを抱えているとしたら、どうだろうか。同僚が「意味のあることがしたい」「仕事に意義を感じたい」と言うのを聞き、「自分もそうしたいが、それが何かはっきりとわからないことは問題なのか」と、密かに不安を抱いていないだろうか。

 自身のキャリアや存在に関わる悩みを抱え、自分が進むべき道がわからなかったとしても、何も心配することはない。筆者らはそのように考えている。むしろ何をすべきかわからないということが、自分にとって最大の競争優位になる可能性さえある。

 このように先が見えなくてもリミナルな状態、すなわち物事が移行する手前の境界線に身を置くことには価値があると、筆者らは考えている。

 我々の経験では、「自分は答えを導いている」と主張する人の多くは、意義の欠如を自覚していなかった状況をごまかすために、何らかのパーパスを定めたにすぎない。あるいは確固たる考えを持っていると自分に言い聞かせているだけで、多くの選択肢や可能性があることを無視しているのかもしれない。

 まるで紛失した家の鍵を探す酔っぱらいのように、人は意味を探している。その場所で落としたからではなく、探しやすい場所がそこしかないという理由で、街灯の周辺を探しているのだ。

 これから何をすべきかわからない状態を逆手に取るために、5つの方法を紹介しよう。