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仕事をよりよいものにするために何をすべきか。その答えを探求すべく、『ハーバード・ビジネス・レビュー』では日々、研究に裏付けられた論考を掲載している。2021年によく読まれた論考を見ると、いくつかの顕著なトレンドが浮き彫りになった。すなわち「大退職時代のマネジメント」「従業員の成功に求められること、必要とされること」「職場を改善するヒントやコツ」、そして「職場のジェンダー」だ。本稿では、読者からの反響が大きな論考を紹介しながら、リーダーが組織の方針や戦略、選択肢の手がかりとなる、データ主導の知見をどのように読み解くべきか論じる。


 コロナ禍や社会運動などをきっかけに職場が急速な変化を遂げる中、根本的な問いが残されている。従業員、組織、そして社会全体にとって、どうすれば仕事をよりよいものにできるか、だ。

『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)は2021年、この問いを探求するために、各種研究に裏付けられた論考を数多く掲載してきた。そのテーマは、従業員の離職防止から会議依存の克服、職場におけるジェンダー平等の実現まで、多岐にわたる。

 そこで、2021年に掲載された論考の中から読者の反響が最も大きかったものを調べてみた。最もよく読まれた論考に目を向けると、そこではさまざまなアイデアが提案されていたが、いくつかの顕著なトレンドが見られた。

大退職時代のマネジメント

 2021年に最もよく読まれた2つの論考はどちらも、私たちの多くが頭を抱える深刻な問題の一つに焦点を当てている。すなわち「大退職時代」(グレート・レジグネーション)だ。

「データ主導のアプローチで従業員の定着率を上げる」は、世界4000社の従業員記録900万件のデータに基づき、グローバル経済の中で最大の離職者が生まれているセグメントを明らかにした。

 分析の結果から、離職率が最も高いのは中堅社員で、業界別ではヘルスケア業界とテック業界で退職者が多いことが示されている。この論考では、問題を数値化し、離職の根本原因を特定することで、個々の状況に合わせたリテンションプログラムを開発して定着率を高める、データ主導のアプローチを勧めている。

 この論考に関連する「社内公募で不採用を告げられた従業員が会社を辞めてしまう理由」は、離職の引き金になりやすい要因を探求している。社内公募で不採用になった従業員は(採用された従業員や応募しなかった従業員に比べて)、その直後に退職する可能性が2倍になるという。

 もちろん、すべての社内候補者が募集したポジションに適任というわけではない。そうであるならば、採用プロセスで必要な決定を下しながら、社内候補者の離職を防ぐにはどうすればよいのか。

 この論考の筆者らは、社内公募で不採用になった従業員でも、採用担当マネジャーの面接を受けた場合、あるいは実際に採用されたのが(社外候補者ではなく)別の社内候補者であった場合、会社を辞める可能性が半減することを明らかにした。

 これはいずれの場合も、その社内候補者が今回は昇進を逃しても、自分が候補者として真剣に検討されたことを示しているからだ。言い換えれば、仮に今回不採用になったとしても、今後のキャリアを向上させる機会が自分にもあると感じられれば、従業員が会社に留まる可能性が高まる。