本連載の第1回は、デザイン経営の有用性について説明した。第2回は、デザイン経営を実践する組織と人材要件について説明する


 デザイン経営を実践する組織は、デザインの力で経営を高度化させている。NRIとhyphenateは、実際にデザインを経営に活かしている企業の組織長とディスカッションを重ね、デザイン経営を実践する組織は以下の3つの要件を持つと整理した。

要件(1):ステークホルダーにストーリーを体験させ、共感と自分事感を持たせる

製品・サービスや発信するメッセージを通し、企業の意思をストーリーとして体験させる。ステークホルダーは企業のストーリーを体験することで、当該企業の一端を担う意識が強まり、共感と自分事感を持つ。ストーリーは、シンプルかつステークホルダーが自ら意味を考え実践する余白を残す形が望ましい。

要件(2):社内にデザインの理解を促し、デザイナー意識を浸透させる

社内のあらゆる人にデザインの重要性を理解させ、ビジネスに取り入れる意識を持たせる。デザインをデザイナーだけの特別な能力と捉えてはいけない。社内中が常に問いを発見して変化を起こし、価値を創造する意識=「デザイナー意識」を浸透させていくことで、自ずとデザインの能力も備わっていく。

要件(3):企業の意思と経済性を両立させた活動を、小さく、早く、繰り返す

企業の意思や価値観、人中心のストーリーを、経営の判断軸として機能させる。それを、企業として必要な経済性と両立させる。この活動を、「小さく、早く、繰り返す」ことによって、ステークホルダーの意思を揃えながら、組織に浸透させていく。

 上記3要件について日本企業の充足状況を考えると、要件(1)は既に取り組んでいる企業が少なからずあるが、発信される情報量が過剰あるいは抽象的になっており、何を伝えたいのか読み取れない場合が見られる。要件(2)と(3)は、経営者のデザインに対する理解度によって、取り組みに差が出ている。要件を満たす組織作りや人材活用が出来るかは、経営者の手腕によるところが大きい。

 この3つの要件を基に、デザイン経営を実践している3つの企業、コニカミノルタ、ヤマハ発動機、サイバーエージェントの取り組みを、各企業の推進責任者の話を基に分析してみよう。