PM Images/Getty Images

締め切りの存在は最大のストレスになる。精神的な負荷が高まるだけでなく、期限に合わせるために無理な働き方をすることで、全般的なパフォーマンスの低下を招きかねない。実際には、たいていの仕事で締め切りを延長することは可能だ。にもかかわらず、なぜ多くの人がそれを躊躇うのだろうか。筆者らは研究を通じて、そこに2つの障壁があることを明らかにした。


 さまざまな研究が示すように、締め切りの存在は仕事に関連する最大のストレス源の一つだ。そのタスクを完了するのに必要な期間を自分が(または上司が)甘く見積もっていたせいで、きつすぎるスケジュールに追われて四苦八苦するというケースでは、特にストレスが募る。

 しかも、その影響はストレスがやや強まるというだけに留まらない。非現実的な締め切りによって生じるプレッシャーは、創造性や仕事の成果、そして全般的なパフォーマンスにも重大な悪影響を及ぼすことが明らかになっている。

 避けようがないようにも思えるこのストレス源に、対処する方法はあるのだろうか。

 すぐに思いつく解決策は、締め切り期日の延長を依頼することだ。締め切りの中には思ったよりずっと融通が利くものも多く、なかにはまったく恣意的に定められたものもある。実際、筆者が同僚とともに、米国在住の社会人1000人以上を対象に行った最近の調査では、重要な仕事の締め切りのうち、ぎりぎり半数に届かない程度の締め切りは変更が可能だった。

 実際の締め切りが思ったよりも柔軟になりうる理由は数多くある。たとえば、マネジャーから今週中に原稿の草案を提出するよう求められても、実際には来月が締め切りの報告書に間に合いさえすればよいのかもしれない。最終的な報告書の締め切りには交渉の余地はないかもしれないが、社内での草案の締め切り延長はそれよりはるかに容易で、コストもかからない可能性が高い。

 また、外的要因と無関係に設定される締め切りもある。たとえば、従業員にプロジェクトの完遂をうながすための単なる「コミットメントデバイス」として締め切りを定めるケースだ。この場合、期限を延長しても誰にも迷惑をかけることはない。

 しかし、締め切り変更という選択肢がある場合が珍しくないにもかかわらず、多くの人は延長を求めるのをためらうものだ。ストレス軽減と仕事の質の向上という効果が見込まれる状況でも、締め切りの延長依頼を思い留まらせる障壁は何か。筆者らの研究チームは、その正体──実在する障壁であれ、空想上の障壁であれ──を探るために、計4000人以上の社会人を対象に一連の調査を実施した。