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あなたの周囲にも話好きな同僚や部下がいるだろう。1日中、たわいもないメッセージを送ってきたり、何の気なしに席に立ち寄っては自分の話を聞いてもらおうとしたりする。会議ともなれば、終了時間が延びることも日常茶飯事だ。いら立ちや不満を感じても、人間関係が壊れてしまうことを心配して、相手の行動を許容してしまいがちだ。しかし、そうした行動を許容し続けることの代償に目を向けなければならないと、筆者は指摘する。本稿では、自分自身とチームが仕事を遂行できる状況を確保するために、おしゃべりな同僚や部下との間に境界線を引くための方法を紹介する。


 シャーロットは疲れ果て、取り乱した様子で、筆者とのコーチングセッションにやって来た。そして「もう我慢できない」と怒りを露わにし、降参したかのように両手を上げた。話を聞くと、データサイエンスチーム側の担当者である、おしゃべりな同僚とのミーティングがまた開かれたようだ。

 シャーロットは、その同僚と一緒に仕事をすることは基本的には楽しいと感じている。しかし、企画会議を行うといつも予定時間を20~30分超過するので、その後の約束に遅れてしまうことに不満を感じていた。その同僚は、チームの分析結果の説明を延々と繰り返し、ほかの誰にも口を挟ませないのだという。

 シャーロットの状況を見て、思い当たる節がある人もいるだろう。誰しも、これまで仕事をしてきた中で、おしゃべりな同僚や部下に一人は出会ったことがあるはずだ。

 朝から晩まで、何か起きるたびに、些細なことでも仕事用のアカウントにメッセージを送ってくる人もいれば、予告なしに席にやってきて、一方的に週末の話をする人もいる。「10分間だけよろしいですか」と電話をかけてきては、結局1時間話をする人もいる。

 シャーロットのコーチである筆者から見て、データサイエンスチーム側の担当者との間に、境界線を引く必要があるのは明らかだった。しかし、そのような提案をすると、シャーロットは心配した。

「たしかに、彼のせいで時間が無駄になっていますし、それには腹が立ちます。でも、彼を切り捨てるような、失礼なことや意地悪なことはしたくないのです。この先も一緒に仕事をしなければならないので、嫌われるわけにはいきません」

 その抵抗感は、まったく意外ではなく、筆者がコーチングを行っている多くのプロフェッショナルやリーダーに共通して見られるものだ。

 優れた成果を上げながらも極めて感受性が強い人々(筆者は「繊細な努力家」と呼んでいる)は、感情の動きに敏感で、他者のニーズに共感する。そのような資質があることで、繊細な努力家は強いリーダーになる可能性を持つ一方、八方美人や事なかれ主義に傾く場合もある。

 話好きな人との間に境界線を引くと、相手を怒らせたり、人間関係が壊れてしまったりするのではないかと心配しているならば、その行動を許容し続けることの代償を考えてみてほしい。

 相手の話を延々と聞くことで、あなたは自分が寛大で、忍耐強く振る舞っていると思うかもしれない。しかし、それは単にわだかまりを募らせ、感情的ウェルビーイングや生産性に害を与えているにすぎない。

 自尊心、不安、混乱など、人がおしゃべりになる理由はさまざまだが、それでもあなたには、自分自身とチームのメンバーに対して、思いやりのある社交的な方法で制限を設け、仕事を遂行できる状況をつくる責任がある。そのための方法をいくつか紹介しよう。