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フェイスブックが社名を「メタ」に変更するという発表は、世界中で大きな話題を呼んだ。しかし、このリブランディングは酷評されている。なぜなら、フェイスブックの事業自体が何も変化していないからだ。本稿では、グーグルやマイクロソフトの取り組みと比較しながら、フェイスブックの社名変更の問題点を指摘する。


 2021年10月28日、フェイスブックの会長兼CEOマーク・ザッカーバーグは、社名をメタ(Meta)に変更すると発表した

 このリブランディングは、数々の理由から酷評されている。最近の同社に対する批判から世間の目を逸らそうとする愚かな企てだ、新社名が示唆するメタバース(仮想3次元空間)はあまり認知・理解されていないので混乱を与える、「メタ」という社名はばかげている、といった具合だ。

 だが、このリブランティングの致命的な問題は、同社が実質的に変化していないままで、新たなブランドを導入したところにある。

 ザッカーバーグは、同社のオンラインイベント「フェイスブック・コネクト」の講演を通じて、リブランティングをこう説明した。「当社が取り組むあらゆるものを包含する、新たな企業ブランドを採用すべき時が来ました」

 しかし、それは事実に反している。メタの背後にあるビジョンは、まだ単なるビジョンでしかなく、同社の事業と収益の中核はいまもソーシャルメディアだ。確立までに約10年かかるとザッカーバーグ自身が認めるように、未来の潜在能力やプラットフォームや製品に依拠したブランド名は、せいぜい人々を混乱させるか、へたをすれば失望させ、企業の信用をさらに落とすだろう。

 そうはいっても、フェイスブックがこの戦法を採用するのは驚くことではない。実際、多くの企業が実施していることだ。

 ビジネスリーダーは、企業のアイデンティティを変更したい時や、事業をリポジショニングしたい時、しばしば外部へのメッセージやコミュニケーションから手をつける。新しい名称、新しいロゴ、広告キャンペーンなどだ。なぜなら、こうした表層レベルの変更は、比較的実行しやすいからだ。事業や企業文化に真の変化を起こすほうが、はるかに難しい。

 過去には、冷ややかな世論を変えるために、イメージチェンジが有効だった時代があったかもしれない。しかし、今日の顧客は、ずっと賢くなった。実質的な違いがあるものを提供され、問題は解決したのだと信じられる証拠を確認できるまで、企業が本当に変わったとは考えない。今日の顧客は取引相手に誠実さを求め、公言していることと実際の中身が一致することを期待する。

 フェイスブックは新しい社名を通して、新しく心躍る方法で人々を一つにするような、革新的なテクノロジーを開発していると主張したいのかもしれない。しかし現実には、同社は現在も危険をはらむ商品を製造・拡販し、企業文化は機能不全に陥り、顧客の信頼を失いつつある。

 フェイスブックはまず、こうした問題に取り組むべきだった。何より、メタバース商品やアプリケーションのプロバイダーとして地位を確立したうえで、新しいブランドを発表すべきだったのである。