Phil Ashley/Getty Images

ただでさえ締め切り前で忙しいのに、わずらわしい人間関係に翻弄され、仕事がどんどん積み上がっていく。極度の精神的疲労を感じ、身動きが取れなくなると、「自分はバーンアウトしてしまった」と決めつけがちだが、職場のストレスがすべてバーンアウトにつながるわけではない。本稿では、最適な支援を受けるために、自分の精神的疲労がバーンアウトか否かを見極める方法を紹介する。


 仕事にいつものように熱意を注げなくなるのは、よくあることだ。むしろ、正常な状態といってよいだろう。

 差し迫った締め切りのプレッシャーを感じているのかもしれないし、仕事がらみのややこしい人間関係に緊張しているのかもしれないし、仕事が山積みでストレスが溜まっているのかもしれない。いずれにせよ、時として仕事への情熱が薄れるのは避けられないことである。

 だが、そうしたストレスを感じて心身が衰弱するようになると、自分が経験しているのはバーンアウト(燃え尽き症候群)だと、一足飛びに決めてしまいがちだ。しかし、仕事のストレスに伴う感情のすべてが、バーンアウトによるわけではない。

 筆者の一人であるウィーンズは現在、ストレスを強く感じているリーダーを対象とした一連の研究を進めている(未発表)。そのうちの一つの研究では、長期間にわたって仕事で極度のストレッサー(ストレスの原因となる刺激)にさらされることが、バーンアウトによる心理的症候のすべてと必ずしも相関関係にないことを示す強力な証拠が得られている。

 では、バーンアウトかそうでないかを、どうすれば見極めることができるのだろうか。

 ストレスに関係する感情を精査し、その特徴を見極めることが、個々の体験に最適な支援を受けるための第一歩であり、最も重要なステップである。

 あなたの抱えている感情がバーンアウトなのか、あるいはこのままではバーンアウトに陥るおそれがあるものの、現時点ではまだ深刻ではない状態なのかを見極めるために、まず次のように自問してみよう。いま経験しているのは片頭痛か、それとも単なる頭痛か。

 バーンアウトの状態にあるリーダーをインタビューしている時、あるいはコーチングを行っている時に、筆者らがよく耳にするのは、彼らの体験は片頭痛のようなものであり、単なる頭痛とはまったく異なるという点だ。

 片頭痛と同様、バーンアウトは単にその日を少し不快にする、ちょっとした痛みやいら立ちではない。しばしば、深刻な機能障害を引き起こす。

 激しい痛みや心身の消耗を感じることがあり、極度の精神的疲労や、仕事に対して否定的になったり、冷めた感情を抱いたりする極端なシニシズムを引き起こす。あるいは、仕事に対する自信を示す職務効力感が最低レベルになったと感じる原因にもなる。

 バーンアウトに陥っているのか、そうでないかを見極めるのは、極めて重要だ。バーンアウトであれば、深刻な健康上の問題につながる長期的リスクが高まるからだ。たとえば、心房細動(不整脈の一種)や2型糖尿病、冠動脈疾患を引き起こすおそれのある高コレステロール血症などである。

 さらに、バーンアウトは実のところ、組織の問題であり、単にセルフケアが不十分だった結果ではない。したがって、この問題の対処するための介入策はより複雑で、「もっと運動しましょう」あるいは「良質な睡眠を取りましょう」という一般的な対処法を超えた戦略が必要となる。

 バーンアウトかどうかを見極めることで、個人の仕事体験をより深く理解できるようになるだけでなく、同僚のウェルビーイングや組織文化全体を支えるために、組織レベルで有意義な変革を促すことにもつながる。