ハイブリッド型キャンパスの特徴の中で、比較的実行に移しやすいものもある。たとえば、大学の年間スケジュールを見直し、従来の学期制に固執することなく、学生をキャンパスに循環させること、あるいはキャンパスの滞在期間が短いローレジデンシーモデルを選択肢に加えることなどだ。

 ローレジデンシーモデルでは、学生は各学期に数週間だけキャンパスで過ごし、残りはオンライン講義を受けながらインターンシップで働くか、対面で授業を受けながら、リモートでインターンシップやジョブシャドウイング(職務体験)を行う。

 また、ハイブリッド型キャンパスは、対面でのやり取りを必要としないサービスのスピードと質を向上させるきっかけをつくり出す。パンデミックの間、バーチャルでのアドバイスや、教授との面会が可能なオンラインでのオフィスアワーが普及したことも、その一例だろう。ユタ大学はいまでは、学費支援や入学に関する一般的な質問はバーチャルアシスタントに回答させている。

 データをより上手に活用することで生まれる変化もある。学生を(キャンパスに暮らすフルタイムの学生としてだけでなく)生涯にわたる構成員として管理し、労働者のニーズの変化に関するリアルタイムの情報をくみ上げていけば、大学側は経済の進化に適応した柔軟性の高い学習プログラムを開発できる。卒業生のための社会人教育として、常時簡単に登録できる履修単位なしの短期コースを運営することもできるだろう。

 また、データを活用してやるべきこととしては、学生の好みを明らかにすること、一般的に学習過程のどこでつまずくかを把握するために共通の指標を見極めることなどがある。さらには、(講義の録音やズームによる授業にとどまらない)デジタル時代向けに設計されたコース開発への投資も、ハイブリッド型キャンパスを実現する重要なステップである。

 セントラルフロリダ大学(UCF)は、ハイブリッド型アプローチに関する豊富な経験を持つ有数の大学だ。同大は1990年代からハイブリッド型およびオンライン授業を試みて、現在では学部生5万9000人の90%がハイブリッド型の講義を受けている。

 UCFのセンター・フォー・ディストリビューテッド・ラーニングは、オンライン学習の戦略と実践に関する情報センターとして、また教授陣の研修拠点として、この変革に極めて重要な役割を担ってきた。その戦略の一つである「ミックスマップ」は、オンラインでの学習に何が最も適していて、何を対面で指導したほうがよいかを教授が判断するために整えた。UCFの学生が、満足度調査でハイブリッド型コースに最高点をつけているのもうなずける。

 大学は、ただ学生を教育し、研究を行う場と考えられがちだ。しかし、職場でもある。

 大学の経営陣はハイブリッド型キャンパスで、大学のミッションに不可欠な職務が何かを見極め、貴重な人材をその職務に集中させることが必要だ。それ以外のサービスは、そこに投資して十分な規模でサービスを供給できる外部機関に提供してもらうほうがよいかもしれない。そうした変化はすでに、学生向けに実施するオンラインでのメンタルヘルスセラピーや遠隔医療の領域で現れている。

 筆者らの調査では、大学がキャンパス再開のプランを立て始めた時、かなり多くの職員が、今後も完全なリモートまたはハイブリッド型の勤務を強く希望していることがわかった。これはシニアリーダーにとって、地理的限界を超えて人材を獲得するチャンスであり、中核的な学問領域以外のサービスをアウトソーシングするチャンスでもある。

 先に触れたように、データから多くの判断を導き出すことができる。データを有効活用した例として、ジョージア州立大学が挙げられる。

 同大はパンデミック中、経済的困難に直面するであろう学生をデータ分析から予測した。そして該当する学生に連絡を取り、対面での面接もせずに直接支援した。同大では2020年4月以降、3万4000人以上の学生がこのような直接的な方法で緊急支援を受けている。

 高等教育の抜本的変革で何よりも肝心なのは、当然のことながら事務局と教授陣が新しいガバナンスのプロセス、構造、パフォーマンス指標を積極的に受け入れることである。それが実際に可能であることは、今回のパンデミックで明らかになった。

 共通のガバナンスで実施するには(もし、できるとしても)何年もかかると思われていた変化が、昨年のキャンパスの一時閉鎖を機に、ほとんど一夜にして実現した。オンライン教育に対してなされた投資と「2020年のリモート教育の大実験」から得た知識には、その利点も欠点も含めて、とても無視できない力がありそうだ。


"Imagining the Hybrid College Campus," HBR.org, October 08, 2021.