従業員のメンタルヘルス体験

 従業員のメンタルヘルス体験に関するデータを検証したところ、2021年は2019年に比べて、問題が幅広く蔓延していることが明らかになった。また、最も苦しんでいるのは、若い世代と歴史的に過小評価されてきたグループの労働者であることが明らかになっている。

 ●離職者の増加

 メンタルヘルスを理由とする離職者が増えている。この原因には、持続不可能な激務といった職場要因が含まれる。離職率は、2019年時点ですでに驚異的な高さを示していたが、その後、いちだんと上昇した。

 ミレニアル世代の68%(2019年は50%)、Z世代の81%(2019年は75%)が、メンタルヘルスを理由に、自発的または非自発的に仕事を辞めている。全世代では50%だ(2019年は34%)。また、回答者の91%(2019年は86%)が、メンタルヘルスをサポートする企業文化が必要だと考えていた。

 ●有病率の上昇

 メンタルヘルスの問題は現在、あらゆる職務階層で広く見られるようになっている。全回答者の76%(2019年は59%)が、この1年間にメンタルヘルスの症状が少なくとも一つあったと答えた。

 マクロレベルで多くのストレス要因があることを考えれば、驚くべき結果ではないが、このことはメンタルヘルスの問題が日常的に、ほぼすべての従業員に影響を与えているという見方を裏付けるものだ。

 2019年の調査では、メンタルヘルスの症状が、すべてのシニアレベルで同様に蔓延していることが明らかになっており、「成功したリーダーはメンタルヘルスの問題とは無縁である」という従来の神話が間違っていることが示された。

 おそらく、この前例のない時代をリードしなければならないというプレッシャーがあるためだろう。2021年の調査では、Cレベルをはじめとする経営幹部がメンタルヘルスの問題を1つ以上抱える割合は、それ以外の従業員の割合に比べて高いものだった。

 いまこそ、スティグマに終止符を打ち、メンタルヘルスの問題は誰にでも起こりうることを認めなくてはならない。

 ●職場での公表

 職場でメンタルヘルスについて話をした従業員は、2019年よりも増えている。回答者の3分の2近くが、過去1年間に職場の誰かに自分のメンタルヘルスの状態について打ち明けたという。

 これはスティグマを取り除くという意味でも、正しい方向に向かう重要な一歩だ。スティグマがあると、治療を受けようとする意欲が低下してしまう。

 ただし、職場でメンタルヘルスについて話したことはポジティブな経験だった、あるいは打ち明けたことで支援を受けることができたと回答した人は49%で、2019年とほぼ変わらなかった。

 ●DEIの影響

 職場のメンタルヘルスでは、デモグラフィック属性が引き続き、強力な役割を果たしている。今回の調査でも、最も苦しんでいるのは、若い世代と歴史的に過小評価されているグループの労働者だった。

 ミレニアル世代とZ世代、そしてLGBTQ+と黒人、ラテン系の回答者は、それ以外の回答者と比べて、メンタルヘルスの症状を経験した割合が著しく高かった。

 同様に、ミレニアル世代とZ世代、子どもの主たるケアギバー、歴史的に過小評価されてきたグループ(LGBTQ+、黒人、ラテン系を含む)は、メンタルヘルスを理由に離職する可能性が高く、メンタルヘルスをサポートする企業文化を構築すべきだと考える割合も大きかった。

 実際、メンタルヘルスはDEIの問題であるとした回答者は、全体の54%(2019年は41%)に達した。