●与えることで得られる

 相手から話を引き出すには、まず自分の情報をいくらか与え、相手が安心して自分のことを詳しく話せるようにすることが必要な場合がある。この「give to get」(与えることで得られる)も、CIAが訓練で教えているテクニックであり、諜報員が諜報対象とラポールを築き、秘密の関係を深める方法として身につけるものだ。

 これは、ビジネスの世界でも重要なテクニックだ。誰かに打ち明けてもらいたい情報がある場合、自分自身の似たような出来事を話して水を向けると、うまくいけば相手も心を開いて、あなたの聞きたい話をしてくれる。

 たとえば、同僚に「職場でストレスに感じている状況」を打ち明けてほしい場合には、あなたが最近経験した同じような出来事を話して、相手から話を引き出すのがよいだろう。交渉で妥協点を見つけようとする時や、単に同僚と打ち解けようとする時でも、この「give to get」は信頼関係の基礎をつくり、相手が心を開くのを促す簡単な方法である。

 ●メモを取る

 CIAの諜報員が人と会った後に記録を取るように、あなたも人と会った後で相手についてわかったことをメモすれば、次の会話で忘れずにフォローアップできる。メモしてもらいたいのは、相手の機密情報ではなく、自分自身の忙しさに紛れて忘れてしまうような、その人の人生に関する些細だが詳細な情報だ。

 たとえば、ある同僚がマラソンの練習をしていると言った場合、それをメモしておくと、次に会った時に「その後、練習はどうか」と聞くことができる。また、子どもの人数や名前を教えてくれた場合には、それも書き留めておく。人は、自分が話した内容を相手が覚えていてくれると特別だと感じ、さらに後になっても気にしてくれていることがわかると、なおさら特別に感じるものだ。

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 同僚との信頼関係を築く能力は、自分の意見を支持してもらうための一要素にすぎないが、CIAが実践するこれらのテクニックを活用することで、プロフェッショナルとしての目標を達成するための基盤を構築できる。

 職場で達成すべきことの多くが、人間関係を築き、同僚の信頼を得られるかどうかにかかっている。時間をかけて互いがつながり、理解し合うことは、成功に向かうために欠かせないことなのだ。


"5 Techniques to Build Rapport with Your Colleagues," HBR.org, September 30, 2021.