1. 自分自身の影響力を認識する

 あなたが気づいたとしても、そうでないとしても、人々は常にリーダーであるあなたを見ている。そのため、あなたの言葉と行動の両者に自分自身がどう反映されているかを、いったん立ち止まって考える必要がある。

 たとえば、あなたの会社では年初来の離職率が25%と過去最高を記録し、採用目標を60%下回っているとしよう(このシナリオは実際に、多くの会社に当てはまる)。従業員は不安やストレスを感じている。あなたなら、こうした厳しい現状を従業員にどう伝えるべきか。

 自身の抱える心配事やフラストレーションが周囲にどう受けとられているか、あなたは認識しているだろうか。従業員が感じる懸念や不透明感を、不用意に高めるようなことはしていないだろうか。自分が及ぼす影響について認識すれば、それをコントロールして正しい方向に進めることができる。

2. 潜在性と可能性を注視する

 逆に、あなたの組織では、従業員定着率が75%で、新規採用についても多くの応募者があり、従業員の数も順調に増えているとしよう。かつてなくディスラプティブ(破壊的)な時代に、どのような成果を生み出したいのかを考えてみてほしい。

 いまはプラグマティズムを基盤に、可能性と感謝の気持ち、そして組織に昔からいる従業員と新たに加わった従業員の両方が、どのような経験をしているかに対する認識を考慮に入れる時だ。従業員に対して好奇心を持ち、次のように問いかけることだ。

・この状況下で、できる限り最善の成果として具体的に何が思い描けるか。
・その成果の何に心が躍るか。
・それはあなた/チーム/組織に何を与えてくれるか。

 このような方法で従業員とコミュニケーションを図ると、そこから生まれるのは恐れや不透明感ではなく、潜在性や可能性になる。

3. 退職もまた是だと考える

 コミュニケーションに関連して、あなたが予期せぬ影響を及ぼしている可能性がある、別の領域を見てみよう。すなわち、自分自身をはじめ、組織が退職していく人々をどう扱うかである。

 従業員が退職の意を伝えた時に、組織側がまるで別れを告げられた恋人のような反応を示すケースがあまりにも多い。自分が捨てられ、拒絶されたかのように感じるのだ。これが、あまり好ましくない行動の引き金となる。

 退職した人は「間違っていた」とされ、その人の信頼性や誠実さに疑問を投げかける。一緒に仕事をしていた時は、そんなことはなかったにもかかわらず、だ。退職していく人が、まるで存在しないかのように振る舞ったり、その人の貢献を過小評価したりすることも起きがちだ。

 このような行動が、退職していく人にどのようなシグナルを送っているのかを深く考えるべきである。さらに、残留組がその様子を観察していることも忘れてはいけない。

 そのような行動を取る代わりに、引き継ぎの時期に、感謝の意を持って接することが欠かせない。終身雇用の時代は終わり、ごく稀な例外を除けば、従業員はそれぞれのキャリアの旅路の中で、あなたの組織に一時的に立ち寄っただけなのだと考えることだ。

 去っていく従業員は組織に貢献し、従業員側も何か新しいことを学べたのだと願おう。彼らはすでに新入りだった時とは違う。それと同じことが、あなたにも組織にもいえる。

 退職者が現れた時にいったん立ち止まり、そのような思いを、退職する側も残される側も言葉にできたら、どうだろうか。これまでを振り返り、互いに成長し、進化したことを認識したとすれば、何が生まれるだろうか。退職を関係の拒絶ととらえるのではなく、組織が進化していく過程における変曲点だと見なすことで、何が生まれるだろうか。

 人材プールが逼迫しているのは確かだが、一人ひとりのキャリアは長い。感謝の気持ちを持って、一緒に働いたこの時期に区切りをつけよう。