Illustration by Cecilia Castelli

期待する部下にインフォーマルリーダーの役割を担わせることは、正式な管理職になるための準備期間として有効だ。しかし、チームメンバーの管理という新たな仕事が増えて、これまで以上の責任を負うことにもなるため、上司からの適切なサポートを得られなければ疲弊し、燃え尽きてしまう可能性がある。本稿では、インフォーマルリーダーを任命する際にマネジャーが何をすべきか、またリーダーを務める本人がどのようなことに留意すべきかを示す。


「私はチームのインフォーマルリーダーとして、自分の目標を達成するだけでなく、チームのタスクを管理し、決定する責任を負うことが多い。それらのタスクを遂行するのは自分ではないが、同僚のタスクを手伝うために余分な仕事をしなければならず、疲弊してしまう」

 マネジャーが従業員の能力開発を支援し、チーム全体のパフォーマンスを向上させる最善の方法の一つは、将来性のある人材にインフォーマル(非公式)なリーダーシップを取るのを奨励することだ。チームやプロジェクトを率いることで、有望なリーダーに貴重な経験を積ませ、将来、公式のスーパーバイザーや管理職になるための準備をさせるとことができると同時に、組織全体に付加価値を与えることができる。

 しかし、インフォーマルリーダーの役割を担うことで、従業員は評価されていると感じて成長することができる一方で、彼らのエネルギーレベルや職務満足度を著しく低下させ、長期的なメリットがあるにもかかわらず、こうした付加的な役割を担うことに消極的になることが、筆者らの最近の調査で示された。

 一連の調査では、米国と台湾の学生および社会人500人以上を対象に、インフォーマルなリーダーシップがエネルギーレベルや職務満足度にどのような影響を与えるか、また、フォーマルなリーダーからのサポートがその影響をどの程度軽減するかを調べた。

 定量調査と定性的なインタビューの結果、インフォーマルなリーダーシップは、しばしばエネルギーレベルの低下を招き、その結果、職務満足度を低下させることが明らかになった。

 ある参加者はこう説明した。

「特別なイベントがあると、私はチーム全体の中心的な役割を担うことを期待され、アジェンダの大幅な変更を迅速に行わなければならないことも多い。自分の仕事をこなしながら、他の活動も調整しなければならないので、疲れ果ててしまう」

 学生チームを対象とした調査では、チームメンバーのインフォーマルなリーダーシップの状態とエネルギーレベルの間に、有意な逆相関が見られた。同様に、社会人を対象とした追跡調査でも、インフォーマルリーダーの役割を担う参加者は、リーダーの役割を担っていない参加者に比べて、エネルギーレベルが平均で11%低かった。

 また、インフォーマルリーダーの責務がエネルギーレベルの低下につながる度合いには、フォーマルなマネジャーからのサポートが大きく影響することもわかった。研究では、参加者を無作為に割り当て、上司からのサポートが多い場合と少ない場合のシナリオを読み、その状況下で自分がどう感じるか説明してもらった。

 参加者は、上司が質問に対して詳細なコメントやアドバイスをくれる場合(サポートが多い状況)と、自分で考えるように言われたり、他の人に聞くように言われたりして、助けを求めても拒否される場合(サポートが少ない状況)について、どちらかの一連のメールを読んだ。

 サポートが多い状況では、インフォーマルリーダーとリーダーでない人のエネルギーレベルに大きな差は見られなかったが、サポートが少ない状況では、インフォーマルリーダーのエネルギーレベルはリーダーではない人に比べて約20%低かった。

 このことは、インタビューの結果にも反映されている。たとえば、ある参加者は上司からのサポートがないことや認められないことで、インフォーマルリーダーの責任にとりわけ疲弊したと話した。

「私はグループのインフォーマルリーダーとしてベストを尽くそうとした。しかし、自分の努力が認められず、付加的な責務に疲弊していった。特に上司が、私の仕事がビジネスにとって重要でないかのような態度を取ったり、自分が何をすべきか迷った時に助けてくれなかったりすると、つらい気持ちになった」

 当然ながら、マイクロマネジメントは非常に有害なこともあり、人が成長するためにはある程度の自律性が必要だ。しかし、筆者らの研究結果でも先行研究でも、マネジャーはバランスを取り、従業員が自分で成長できる余地を残しつつ明確なアドバイスを与え、効果的なリーダーシップの取り方を示してサポートする必要があることが示唆されている。