●コントロールを取り戻す

 コントロールの喪失を感じることは、不確実性と漠然性を抱いている時の主な症状の一つだ。不確実な状況が続くと漂流感が生まれ、計画を立てたり決断を下したりするのが難しくなる。

 そのような状況では、脳の中で感情に関わる扁桃体が活発化する。つまり、前頭前皮質(PFC)を通じて積極的かつ思慮深い行動を取るのではなく、受け身になり、恐怖に左右されて動くようになる。

 恐怖は創造的思考の敵だ。なぜなら脳内のリソースが、認識された恐怖を中和することに投じられてしまうからだ。

 それゆえ、自分自身の手で計画を立てて破壊的な状況をつくることで、不確実性を軽減できる場合がある。ポッドキャスト番組「グッドライフ・プロジェクト」の司会者、ジョナサン・フィールズは次のように語る。

「破壊的状況を引き起こすのが自分自身であれば、依然として大変なことではあるが、主体的感覚を持つと同時に、なぜその状況が起きているのか理由を把握できる。そうした状況がどのように終わるか、あるいは自分が始めたことを実行できるかどうかはわからない。しかし少なくとも、みずから方向性を選び、自分の究極の目標に向かって進むことができる」

 フィールズによると、このアプローチを取ることで自分を中心に据えたコントロール感覚を維持することができ、息がつきやすく、より明確に物事を考えられるようになるという。

 自分自身の究極の目標に意識を集中させると、計画やコントロールを司る前頭前皮質が働き、思考や感情を制御できる。最終的には、みずからの行動を管理できるようになり、自分の創造性の蛇口を開いたり、閉じたりできるのだ。

 ●創造性の助けとなる環境を設計する

 明確性や方向性、それらと関連するツールがあると、未知の物事に対するストレスや恐怖が軽減し、目の前の脅威に対処するのではなく、創造的なつながりを構築する余地が脳の中に生まれる。

 ただし、リモートワークやハイブリッドワークが、これを複雑なものにしている。仕事やコミュニケーション、コラボレーションの仕組みを、意図的に設計することがより重要になっているのだ。

 オフィスでの偶然の会話から創造的なひらめきが生まれるような状況がない中、プロダクトイノベーションを重視する企業は、リモートであっても創造的であり続けるための仕組みが必要だ。

 玩具メーカーのワウウィーでオペレーションの責任者を務めるアンドリュー・ヤノフスキーによると、同社ではコロナ禍により、ブレインストーミングのプロセスとそこから生み出される結果に対して、より思慮深く構造的なアプローチを取るようになったという。

 まず、現状を反映し、従来のやり方に変更を加えた。「対面での会話を通じてアイデアを創出することができないため、意図的にミーティングにルールを設け、話し合いの方向づけを行い、ブレインストーミング終了後の対応をモニタリングすることにした」と、ヤノフスキーは言う。

「そのプロセス全体を通じて、『ペン立て』の役割を果たす人を指名した。この人物が、最初から最後まで主要な成果物に目を配る」

 多くの人々が、創造性とは自由で型破りな思考の結果だと見なしているが、「砂場を用意してその中で遊ぶように、自由に遊べる領域に一定の枠を設ける」ことで、そのプロセスを仕組み化するとともに、参加者に心理的安全性をもたらすことができたと、ヤノフスキーは説明する。