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戦略の遂行を妨げる要因はさまざまだが、見落とされがちな課題がある。それは、リーダー自身の性格的な問題だ。あなたは自信過剰に陥ったり、他社の成功事例に安易に飛びついたりしていないだろうか。リーダーの人としての欠点が、メンバーとのつながりを強固にすることもある。しかし、それが行きすぎると組織に悪影響をもたらし、どれほど素晴らしい戦略を描いても、適切に実行されないまま終わる可能性が高まるだろう。本稿では、リーダーが抱える性格上の欠点を4つに分類し、それぞれの対処法を示す。


 戦略の遂行が組織にとって最大の課題の一つであることは、いまさら言うまでもない。戦略が頓挫する原因としては、そもそも戦略になっていないことや、組織の機能不全不均衡過度な内向き姿勢などがよく知られている。

 しかし、(少なくとも)もう一つ探求しなければならないことがある。そして、それはリーダー自身の中にある。

 リーダーの性格が組織の文化に与える影響については、従来から広く理解されている。しかし筆者らは、性格のいくつかの欠点が、戦略的選択の質と遂行に不釣り合いなほど悪影響をおよぼすと考えている。特に、どこに集中して、どのように競争し、何を構築する(そして廃棄する)か、という要素への影響が大きい。

 リーダーが力を発揮しなければならない時に、自分で自分の足を引っ張ることがある。興奮や恐怖が、自分の反応を自己制御する力を損なうのかもしれない。明確に考えることができずに、より深いところで強固になった「性格の欠陥」に影響された習慣にはまる。いわゆるリーダーシップの病理だ。

 これらは単にやっかいなだけでなく、組織全体に大きな影を落とし、戦略の立案と遂行における失敗を招く。

 筆者らは2人合わせて60年の経験をもとに、リーダーの性格に関する4つの欠点と、それが戦略に与える影響を明らかにしてきた。それぞれの問題がもたらす影響を軽減するために、リーダーが実践できることを提案したい。

自信過剰で「慢性的な確信」を抱いているリーダー

 自信過剰で「慢性的な確信」を抱くリーダーは、大げさな約束をしたり、非現実的な戦略を立てたりする傾向がある。これは、実行を任される人々に不必要な不安を与える。

 このようなリーダーは近視眼的で、決定論に囚われすぎて、長期的な傾向や複雑なダイナミクス、新規参入者による創造的破壊がもたらす影響に気づかない。そして、何が起きているかを認識した時には、対応が遅すぎることが多い。

 ジョン(デイビッドのクライアント)は中規模な組織のCEOだった。将来について大胆で挑発的な発言をし、自分とは異なる意見には耳を貸さなかった。そして、チームのモチベーションを上げるどころか、チームから疎外されそうになっていた。

 デイビッドは、ジョンが劇的に変わらなくても自分の置かれた状況に対する意識を高められるように、最初の一歩を提案した。ジョンが尊敬する業界の重鎮をメンターに迎えることだ。これにより、自分が計画に織り込んだ前提条件の妥当性を熟慮できるセーフスペース(安全な空間)が生まれた。

 自分の意見に過剰な自信を持ちがちな人は、たとえば次のような方法で慢性的な確信を和らげることができる。

・議論や反対意見を取り入れる:話し合いの冒頭で、異なる意見を求めていることを明確にし、自分に反対してかまわないと伝える。さらに踏み込んで、バックグラウンドや専門性、スタイルが異なる人々で構成されたチームをつくり、互いにアイデアをぶつけ合う。

・あなたに反論する勇気がある人を集める:イエスマンと仕事をしたいという誘惑に負けないこと。自分の能力に自信を持ち、自分らしさを出せる余裕がある人を探して、あなたと意見が合わない時は遠慮なく言うようにうながす。彼らの意見が尊重されることを約束する。

・外部の変化に敏感になる:特に消費者行動や技術革新について、かすかな兆候を見逃さないことに時間を惜しまない。競合相手の動きを観察し、主要なステークホルダーと話をして、彼らの関心事を十分に理解する。

・外部の声を歓迎する:アドバイザーや元エグゼクティブは、経験を伴う第三者の立場から、限界や間違った仮定を指摘し、賢明ではない動きに異議を唱えてくれる。