ジョブ型では企業も選ばれるエンゲージメントが重要に

 環境変化に弱いメンバーシップ型雇用は、その存続が難しくなっています。

 たとえば、メンバーシップ型の企業では、デジタル人材に象徴される高度専門人材を労働市場から獲得することが困難です。市場価値に見合った報酬で人材が採用できないうえ、仕事での裁量が狭いなど、外部の人材が将来のキャリア形成に希望を持つことができません。

 また、新卒の優秀層を採用するのも年々難しくなりつつあります。若年層より中高年層の数が多い逆ピラミッド型構造になっているため、責任と権限のある仕事を任せられるまで非常に長い時間がかかり、昇進・昇給の機会も限られます。メンバーシップ型では若年層は割に合いません。

 新卒入社時に優秀だった人が、中高年になると不活性化してしまう構造的な問題もあります。キャリア自律やリスキル・スキルアップの意識が低く、レベルアップしないのです。

 さらに、メンバーシップ型は女性、外国人、シニアの活躍など多様性を高めるうえでの障害にもなっています。会社へのフルコミットメントが前提で、時短勤務や育児休暇を取るとキャリア形成で不利になりやすく、多様な働き方を阻害しているからです。

 環境変化に対応するために、今後は日本企業でもメンバーシップ型からジョブ型への移行が進むと予想されます。

 ジョブ型は雇用主である会社側に一方的に有利な制度だという誤解がありますが、個人のキャリア自律が前提となっているため、会社も選ばれる立場であり、魅力ある組織でなければ人は集まりません。

 選ばれる会社になるためには、社員エンゲージメントが重要です。エンゲージメントを高めるには、報酬や福利厚生などに市場競争力があることが必要条件で、加えて、社員が会社の大義を共有できること、時間、場所を柔軟に選べる働き方、つまりフレキシブルワークができることなどがカギになります。コロナ後もフレキシブルワークを継続したい人が8割という調査結果もありますから、柔軟な働き方は今後ますます必要な条件となるでしょう。

 フレキシブルワークでは、労働時間によって社員を管理することが難しく、ジョブを明確にしたうえで、働き方に裁量を与え、市場原理と貢献の大きさにより処遇が決定されるジョブ型に移行しないと、会社にとっても社員にとっても、実効性の高い制度とすることはできません。

 フレキシブルワークという点からも、ジョブ型への移行が求められているのです。

*本稿は、オンラインで開催されたDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー マネジメントフォーラム「新しい働き方、新しい職場」(10月19日配信)における白井正人氏の講演を要約したものです。

 

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