●率直さを受け入れる

 大きな変化を乗り切り、予期せぬ逆境に対処するには、互いに絶えず率直にコミュニケーションを取り合い、適切な規範と慣習を共創する必要がある。

 個人のパフォーマンスに関して、有益なフィードバックを与えるだけでは足りない。どのような行動が有効で、どのような行動が有効でないかについて日々会話を交わし、それを通じてニューノーマルがどのようなものであるべきかを見出す必要がある。

 当然のことながら、日々の会話で率直なコミュニケーションを実践することは簡単でない。自分が本当に思っていることを話した場合、周囲からどのように見られるだろうかと、不安を感じずにいられないものだ。

 自分の意見が歓迎されないのではないか、評価されないのではないかと恐れる場合もある。誰かの感情を害したり、人間関係を悪化させたりするのではないかという心配する場合もあるだろう。

 こうした不安を感じるのは無理もないが、実際のところ、透明性と共感の精神を欠いた環境に身を置くことによるダメージはもっと大きい。あなたがすべてを率直に話していなければ、相手はすぐそれに気づく。その結果、相手にとって不確実な状況が生まれ、相手の感じる脅威が大きく高まるのだ。

 そこで、筆者らはEYで「エブリデー・キャンダー」(日々の率直さ)と呼ぶプログラムを立ち上げた。不愉快なテーマについて、オープンで率直な会話ができるようにすることが目的だ。

 典型的なワークショップ体験とは異なり、このプログラムはチーム単位で取り組むツールキットである。率直なコミュニケーションを妨げる障害を具体的に洗い出し、新たに採用する行動パターンを決めることを目指す。

 実際、この取り組みはチームレベルで行わなければ意味がない。新たな規範を確立し、何か不愉快な問題が生じた際に互いに支え合えるように、必要なサポートを提供できるのは、チームという場に限られるからだ。

 プログラムの参加者は互いに「今日は率直に話してもよいですか」「あなたの率直な意見を聞かせてください」などと、日常的に言い合えるようになった。このような新しい共通言語が生まれたことで、ニューノーマルに向けた問題解決能力が向上しているといえるだろう。

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 変化と不確実性の中で成功を収めるのは、簡単なことではない。しかし、適切な戦略を武器に、自分自身と他の人々が好ましい行動を取るのを後押しできれば、自信を持って現実的楽観主義を実践することができる。

 何が最も重要かを忘れないこと、率直なコミュニケーションの流れを維持すること、そして最後はうまくいくと信じることを大切にしてほしい。


"Our Brains Were Not Built for This Much Uncertainty," HBR.org, September 22, 2021.