●現実的楽観主義に基づいて、期待を抱く

 現実的楽観主義の考え方はシンプルだが、その効果は極めて大きい。現実的楽観主義を実践するには、万事うまくいくと信じつつも、成功への道は容易ではないかもしれないという現実を受け入れる必要がある。

 科学的研究が一貫して示しているのは、障害や逆境を前にしてモチベーションを維持するには、ポジティブな期待を抱くことが欠かせない点だ。そうしたポジティブな期待のことを、この分野を切り開いた社会心理学者のアルバート・バンデューラは強力な「自己効力感」と呼んでいる。

 ポジティブであることと、簡単に成功できると考えたり、成功が向こうから勝手に転がり込んでくると考えたりすることを混同している人が時々いる。

 ニューヨーク大学教授のガブリエル・エッティンゲンの研究によれば、そうした非現実的楽観主義は常に失敗につながるという。物事が簡単にうまくいくと思っている人は往々にして、期待通りの結果にならなかった時、その状況に対処する準備ができていないからだ。

 そのため、コロナ禍や仕事の世界の潮流全般により、確実にもたらされる変化と不確実性について考える際には、現実的楽観主義の精神に基づき、自分と他者に対する期待を持つことが欠かせない。

 きっとうまくいくと信じる一方で、自分自身はもちろん、誰であっても、不確実な状況で物事を適切に成すには、実験が不可欠であることを理解しなくてはならない。すべてがすぐにうまくいくとは限らないと思っておくと同時に、頑張ればいまより状況がよくなるかもしれないと考えることだ。