●コーチを雇う

 何かのスポーツで上達しようと思った場合、たとえばテニスであれば、テニスのインストラクターに指導を頼むのはほぼ間違いないだろう。

 自分のエグゼクティブコーチを持つことも、かつては恥ずかしいことと見られていたが、この数十年の間に強力なステータスシンボルへと変わってきた。会社があなたを高く評価しているからこそ、あなたのパフォーマンスが上がるように投資しているのだ。

 だが、その他の状況でコーチに出会うことはもちろん、自分自身がコーチを持とうと考えることさえ、めったにない。そして、それは過ちである。

 目標達成に向かって努力している最中に、サポートしたり、指南したりして励ましてくれる同僚がいる人もいる。だが、そう恵まれた人ばかりではない。たとえ自分のことを応援してくれる素晴らしい味方がいても、目指す結果へとあなたを導いてくれる専門性は持ち合わせていないかもしれない。

 学習を構造化し、推進力を得て、みずから責任を持ち続けるためにコーチを雇うことは、目標に向かって前進するうえで莫大な価値がある。

 マーケティングとイノベーションのコンサルティング会社でCEOを務めるザック・ブレイカーは、まさにそれを実行した。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中で、ザックは文学に親しむ時間を捻出しようと決意した。

「自粛生活での単調な日課や不安、在宅勤務、増え続けるストレス、絶えず変わる状況に押しつぶされ、人と会う機会も減った私は、すっかり参っていました。何か心から好きなことをやるべきだと頭でわかっていても、自分が大切に思うことよりも目の前のことを優先し、妥協ばかりしていたのです」

 そこで、ザックは文学のコーチを雇うことにした。メキシコの大学で文学を専攻する博士課程の学生で、英語も話せる。毎週金曜の夜になると、その週に読むと約束していた短編小説について、1時間語り合った。

「エネルギーが湧き出て、好奇心を刺激されるのです」とザックは言う。これが、最も大切な目標を彼なりに優先する方法だった。

 経済的もしくは物理的理由でコーチを雇えないとしても、いまはほぼあらゆる事柄について、オンラインコースからユーチューブの解説動画まで、低コストあるいは無料で利用することが可能だ。

 コロナ禍の初期でまだマスクが手に入りにくかった頃、筆者の母はネット上の日本語や中国語の動画を見て、マスクの縫い方を独学で勉強した。