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父親がキャリアで成功しながら、家庭でもしっかりと役割を果たすのは難しい。たとえ、自分ではよき父親になりたいと思っていても、職場の方針や伝統的な慣習がそれを阻んでいるのが現状だ。そこでカギとなるのが「子育てアライ」の存在だ。仕事と子育ての両立の悩みを聞いてくれたり、困った時に仕事をフォローしてくれたりする同僚は、働く父親の助けになる。また、男性の育児休暇制度を求めたり、働く父親を大事にする企業文化に変えようとしたりしても、自分だけの力ではどうにもならない。社内に議論を広め、上層部に働きかけてくれるアライは、強力な味方になる。本稿では、そのような子育てアライのネットワークを社内に構築する方法を紹介する。


「子どもを一人育てるには、村が一つ必要」なのは、よく聞く格言の通りだ。そして当然ながら、仕事で成功して出世するには、自分自身がよきチームメイトであり、優れたネットワーカーでなければならないことを誰もが知っている。

 ところが、父親の多くはまだ、職場で働く親を理解し、支援する「子育てアライ」のネットワークを構築することの重要性を理解できていない。

 筆者らが実施した、現在の働く父親に関する調査によると、父親は仕事で成功することを望み、かつ実際にそれを必要としている一方で、自分が親やパートナーとして「その場」に存在し、きちんと関わりたいとも思っている。

 育児の負担や喜びを分かち合いたい。夜、泣いている赤ちゃんをあやし、お風呂や読み聞かせの時間に間に合うように帰宅したい。週末は家族と充実した時間を過ごし、平日も子どもと有意義な時間を過ごしたい。働く父親は、自分がそうありたいと願っている。

 残念なことに、職場の方針や伝統的な慣習が依然として、それを阻んでいる。父親業と仕事とは折り合わないという考え方や、何があっても出勤して顔を見せるべきだという文化は、オフィスというものが出現して以来、規範であり続けているのだ。

 そして、働く父親の多くは、この文化に立ち向かうどころか、屈服している。経済的基盤が不安定な場合には、特にそうだ。

 子育てアライのネットワークを築くことは、働く父親にとって2つのレベルで助けになる。すなわち、支援と擁護だ。

 支援のレベルでは、病気の子どもの世話をするために急いで帰宅しなければならない時に仕事のフォローをしてくれたり、つらい時に親身になって話を聞いてくれたりする同僚が子育てアライになる。

 これは個人間の非公式なサポートであるため、企業文化に関係なく、このような関係を醸成できる。仕事でも親としても成功を目指すあなたを、精神面でも実務面でも支えてくれ、あなたも相手に対して同じことをしてあげられるなら、その同僚は立派なアライだ。

 擁護のレベルでは、子育てアライのネットワークには、より高尚な狙いがある。すなわち、企業文化を変革することだ。働く親に優しい職場に変えたいと思っていても、それを一人でやろうとすれば、失敗するのは目に見えている。

 子育てアライがいれば、議論を広げて、さまざまな方向に展開する助けになる。彼らがいれば、あなた一人で話して回るより、もっと幅広い人々と対話をしてくれる。そうなれば、考え方が浸透し、上層部も注意を向け始める。ゆっくりではあるが、少しずつ意識転換が進んでいくのだ。

 たとえば、より進歩的な男性の育児休暇制度を求めて、声を上げる場合を考えてみてほしい。一人の父親だけでは、変化を起こすことはできない。そこで、一緒に主張を拡散してくれるアライの存在が欠かせない。「育休制度の充実が、父親の幸福度と生産性の向上につながる」という声が、社内で優勢になることが必要なのだ。

 そうなれば、父親も、これから父親になろうとする人も会社に長く留まるうえ、優秀な人材を新たに雇用しやすくなる。長時間労働分の仕事は失われるが、会社はその分だけ忠誠心を得る。父親が育児休暇を長期に取得することで、母親もその恩恵を受けることができるのだ。

 こうしたメッセージを現場はもちろん、人事、マーケティング、財務の各部門、そしてCEOオフィスにも広めなければならない。