Illustration by Daniel Creel

コロナ禍で人々の働き方は大きく変わったが、CEOも例外ではない。オフィスが再開してハイブリッドワークが標準となった時、CEOもそれに倣うべきか。あるいは元の働き方に戻すべきだろうか。タスクの達成だけでなく、人間関係の構築という責務を担うCEOがすべてをリモートで対応していれば、対面で得られるはずの大きな恩恵を失うことになる。だからといって、すべてを戻すのではなく、パンデミックの間に学んだスキルやツールを上手に取り入れることも欠かせない。本稿では、新たなハイブリッド環境において、CEOの働き方はどうあるべきかを論じる。


 現在も続く世界的なパンデミックによって、何百万というプロフェッショナルが長年築いてきた仕事のリズムを崩されたが、CEOも例外ではない。企業のリーダーはこの間、新しいコミュニケーションツールを使い、出張を制限し、リモートで指揮を取るようになった。

 いま、オフィスの再開を見据え、パンデミック後の働き方について公言し始めているCEOもいる。

 たとえば、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、フルタイムのオフィス復帰について最も率直に語っている。ボーイングのデビッド・カルホーンCEOは、パンデミック前は頻繁に行っていた社内会議のための出張を大幅に減らすことになるだろうと述べた。

 リーダーは、このような断定的な発言には注意しなくてはならない。それよりも、パンデミックの間に学んだことと、2020年以前に行っていた対面式のマネジメントスタイルの優れた側面をどう賢く組み合わせるかを考え、試すべきである。すなわち、ハイブリッドな世界に適した、新しい時間管理のアプローチが必要なのだ。

 同僚のマイケル・ポーター(ハーバード大学ユニバーシティ・プロフェッサー)と筆者は、2018年に『ハーバード・ビジネス・レビュー』で「CEOの時間管理」という論考を執筆した。2006年に開始した継続調査に基づくもので、調査ではCEOに1日24時間、分刻みのスケジュールを3カ月間にわたり記録するように依頼した。

 27人のCEOからデータを収集したところ、平均的なCEOで、週の勤務時間は62.5時間、1日の睡眠時間は6.9時間、1日の運動時間は45分で、対面の会議に61%の時間を費やす一方、顧客との対話には3%しか費やしていないことが明らかになった。

 また、CEOから得られたデータを共有したうえで、彼らと行った議論に基づき、CEOがより効果的に時間を使うための提言を行った。

 具体的には、経営に費やす時間を減らす、内省するための「一人の時間」を増やす、突発的な交流のために予定を入れない時間を確保する、会議の平均時間を短縮する、取締役や顧客と1対1の時間を増やして投資家との時間を減らす、継続的にメールを確認する誘惑を断つ、などだ。

 これらの提言は、当時は理にかなったものだった。しかし、リーダーがハイブリッドな職場におけるルーチンの再構築を検討する中、CEOと最近交わした議論や筆者の何十年にもわたる経験に基づき、新たな提言をしたい。

 この問題について考えるには、CEOの仕事は多面的であり、無数の職務を担うため、時間がいくらあっても足りないということを心に留めておかなければならない。時間に追われていながら、効率を最優先に考えるべきではない。

 たとえば、すべてのリーダーの仕事には、タスクの達成と人間関係の構築という重要な二面性がある。CEOの場合は特に顕著で、仕事を遂行するためにほぼすべてを他者に頼っているため、かなりの時間を質の高い信頼関係の構築に費やさなければならない。

 ハイブリッドワークの世界では、CEOはリモートで問題なくタスクをこなせても、人間関係を構築するには、少なくともその一部は対面で行ったほうがよいことを覚えておくべきだろう。