『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)では毎月、さまざまな特集を実施しています。本稿では、最新号の特集「戦略の思考法」への理解をさらに深めていただけるよう、関連する過去の論文をご紹介します。

 DHBR2021年11月号の特集は「戦略の思考法」。自社ならではの価値を生む戦略を立案し、その実行可能性をどのように高めていくかを考える。

 戦略は複雑化が進んでいる。その影響で経営者は、組織の全体像を把握することが困難になった。ハーバード・ビジネス・スクール教授のフェリックス・オーバーフォルツァー・ジー氏によれば、こうした状況は企業が従業員、顧客、サプライヤーの価値から発想することで、戦略をシンプルにする絶好の機会だという。「戦略は『価値』こそがすべて」では、成功し続けている企業に通底する、価値を重視した戦略「バリューべーストストラテジー」を解説する。

 今日では、長年市場を支配してきた伝統的企業、創業から間もないベンチャー企業にかかわらず、斬新なビジネスモデルを持つライバル企業に出し抜かれることも珍しくない。こうした失敗の起きる理由についてハーバード・ビジネス・スクール非常勤教授のデイビッド J. コリス氏は、経営者の立てる戦略に「包括的な視点」が欠けており、全体として整合性の取れた判断ができていないからだと指摘する。

「戦略の全体像を見失っていないか」では、伝統的企業、ベンチャー企業の経営者それぞれが陥りがちな戦略の失敗を紹介。そして、筆者が掲げる「包括的な戦略ランドスケープ」の実現に必要な視点と、その具体的な実践法について解説する。

 先行きが不透明で将来の予測が困難な時代であることに加え、深刻なコロナ禍は企業の戦略策定をより厳しいものにしている。こうした中でも、多くの経営者はコロナ後の新常態を見据えて、成長を可能にする新たな戦略を模索していることだろう。

 しかし、長年さまざまな企業でコンサルティング業務に携わってきたマッキンゼー・アンド・カンパニーの小松原正浩氏と野崎大輔氏は、旧来の戦略策定の限界を指摘するとともに、企業価値を向上させるという意味で「日本企業の戦略は大いに改善の余地がある」と指摘する。

「『戦略』を企業価値の向上に直結させる法」では、従来の戦略策定が通用しなくなった原因を明らかにするとともに、日本企業ならではの戦略に関する問題点を考察。さらに、筆者らが所属するマッキンゼーが考える、企業の中長期的な成功確率を高める10の要因を交えながら、資本市場から見て、課題のある日本企業の進むべき道を解説する。

 パンデミックを筆頭に、絶え間なく急速に変化するビジネス環境下において、企業にはその変化に対応する力が求められている。だが、企業の変革力を測定する優れたツールがなく、対処する術がなかった。

 そこで、ベイン・アンド・カンパニーのデイヴ・マイケルズ氏とケビン・マーフィー氏は、ベイン・アンド・カンパニーのグローバル調査をもとに9つの特性から「チェンジ・パワー」を体系的に測定する方法を考案した。

 このチェンジ・パワーのスコアが高い企業は、競合企業よりも従業員エンゲージメントが高く、財務的に優れた業績を上げていることもわかっている。「競争力の向上は『変革力』の測定から始まる」では、さらに各要素の高低から企業のタイプを4分類し、戦略的に市場の競争力を高める具体的なアプローチを提案する。

 2021年7月に実施した最新の調査において、日本企業のチェンジ・パワー・スコアは、グローバルの企業と比較して著しく低いという結果となった。これは、遅々として変革が進まない日本企業の「変革力の乏しさ」をそのまま示しているといえるだろう。

 日本企業の変革力を高めるためには、どうすべきなのか。「日本企業が変革力を高める3つの指針」の中で、ベイン・アンド・カンパニーの三井健次氏とデイヴ・マイケルズ氏は、チェンジ・パワーを構成する9つの特性のうち、3つの特性に焦点を当てて対処していくことが有効であると主張する。

 カインズは競争の激しいホームセンター業界で成長を続け、2019年度には業界トップの売上高を記録した。その牽引役となったのが、ミスミグループ本社の社長を経てカインズに入社し、2019年から社長を務める高家正行氏である。

 自身の在任期間を第3創業期と位置付け、大胆な改革を実行してきた。高家氏は、自社にとって最適な戦略を選択するうえで、6つの視点を大切にしていると語る。その中で真っ先に考えるのは、キャッシュだ。

「経営戦略の時間軸はキャッシュで決まる」では、持続的な成長を実現する戦略をいかに立案し、それをどのように遂行すべきなのか、高家氏の経営哲学が語られる。