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成功すれば自信が芽生え、プレッシャーに対する耐性が高まると思われているが、現実にはそこまで単純ではない。成功するほど寄せられる期待が大きくなるので、重圧はますます高まり、そのままでは心身の健康を害する危険性もある。大きなプレッシャーを感じながら働くスターパフォーマを、リーダーはどうすれば支援できるのか。


 成功すれば自信が生まれ、自信があればプレッシャーに耐えられるようになる。

 一般的にはそう思われているが、最近の米国体操選手シモーネ・バイルズやテニスプレイヤーの大坂なおみの例が示すように、話はそれほど単純ではない。成功は確かに自信を生む一方で、知名度が上がり、寄せられる期待が大きくなって、次第にプレッシャーが健康を害するレベルにまで高まってしまう。

 スターパフォーマーを率いる際には、成功にはもろ刃の剣という側面があることを認識し、彼らが次の2つのことをできるようにサポートする必要がある。失敗と関わりがあるものを正しく捉え、要求されるものの量を管理することだ。

ステータスの重圧

 どれほど優れたパフォーマーでも、プレッシャーは想像以上に感じている。サッカーのPK戦を考えてみてほしい。1回のシュートにのしかかるものは莫大で、選手は得点を期待され、外すことは失敗と見なされる。

 重要なシュートを外した選手は、試合に負けるだけでなく、いわゆる「ファン」から激しい罵声を浴びせられることも多い。2021年7月に開催されたサッカー欧州選手権で、イタリアに敗れたイングランドの黒人選手3人もそうだった。

 あなたが監督なら、スーパースターにPK戦を任せたいと思うだろう。しかし、そうとは限らない。

 心理学者のゲイル・ヨルデは、世界の3大サッカー大会で実施された37のPK戦のシュート366回を調査した。結果は直観に反するもので、スーパースター(FIFA年間最優秀選手賞など国際的にメジャーな賞の受賞選手)は、そうでない選手よりもパフォーマンスが「悪い」ことがわかった。全体の平均得点率が74%なのに対し、スーパースターの得点率は65%だったのだ。

 さらに注目すべきは、のちに同じ賞を受賞することになる選手たちよりもスーパースターの得点率がはるかに低かったことだ。「未来のスター」の得点率は89%だった。つまり、技術はあってもメジャーな賞を獲得するようなステータスを持たない選手は、技術とステータスの「両方」を持つ選手よりもはるかによい成績を残した。ステータスは重圧になるということだ。

 ステータスの重圧を理解するには、何がプレッシャーを生んでいるのかを理解する必要がある。

 筆者は過去3年間、スポーツ、ビジネス、医療、軍隊などの分野で活躍する何百人ものハイパフォーマーを対象に、プレッシャーに関する調査を行ってきた。その中には、合計21個のメダル(うち金メダルが13個)を獲得したオリンピックとパラリンピックの出場選手らへの綿密なインタビューも含まれる。

 そして、プレッシャーは次の3つによって変わることがわかった。

・状況の結果の重要性
・結果の不確実性
・結果にまつわるタスク、決断、心を乱すものの多さ

 3つすべてが成功やステータスの影響を受けるが、特に深刻なのが、結果に付随するものの重要性が徐々に増すこと、そしてパフォーマーが直面するタスク、決断、心を乱すものが劇的に増加することだ。