(3)文化を進化させる勇気を持つ

 すべての文化はレガシーの産物だ。特にリーダーの歴史観や、少なくとも彼らの影響力は、レガシーから生まれる。

 過去にしがみつきたいという誘惑は常に強い。しかし、外部からの大きな変化は、文化に進化を迫る。そして、外部の変化に直面しても文化が生き残った時、あるいは繁栄した時、その誘惑は増強される。

 一方で、危機が起きるたびに、世界のバージョンは更新される。実際に危機を乗り切ったというだけで、そのシステムを変える必要がないわけではない。

 ヘビースモーカーや暴飲暴食をする人が心臓発作で入院して、どうにか生き延びたようなものだ。その後に必要なのは、たばこや酒、食事の量を増やすことではなく、それらの習慣を変えることだ。そして習慣を変えるということは、過去に戻れると喜ぶのではなく、古い習慣を新しいものに置き換えるということだ。

 よく言われるように、私たちは失敗から学ばなければならず、成功から学ぶことはそれよりはるかに難しい。運がよかった場合でも、自分が賢いからだと思いたくなるもので、それはいずれ愚かなことをする典型的なパターンでもある。

 パンデミック下では、従業員への調査や緊密な対話からあまり多くの結論を導き出すわけにいかない。人々は恐怖や怒り、憂鬱を抱えて生きている最中なのだ。そして、パンデミックから脱却しながら考えなければならないことは、恐怖と怒りと憂鬱が、選択と柔軟性と自由に取って代わられるような帰属意識やコミュニティを、組織内でどのように創出するかということだ。

 未来がどうなるかは誰にもわからないが、ハイブリッドワークを機能させるためにさまざまなアプローチを考えることはできる。オフィスはこれまで以上に、協調と創造と革新に関する役割を担うようになり、対面の機会を促して、同僚に会って最低限のスキンシップを取ろうというきっかけになるだろう。

 近い将来、オフィスは仕事をするために行く場所というより、社会やコミュニティの結節点になるかもしれない。特にZ世代の後に就職活動をする「C世代」(コロナ世代)にとって、オフィスは社内のネットワークづくりのために重要な場所になるだろう。

 どのようなアプローチを選んでも、従業員に対して常に明確に示すこと。組織やリーダーの論理的な根拠を確実に理解してもらうとともに、何が機能し、何が機能しないかを評価して、それに応じて調整するための謙虚さと、データに基づく考え方を持つことが重要になる。


"Fostering a Culture of Belonging in the Hybrid Workplace," HBR.org, August 03, 2021.