●役割を明確にする

 グループ編集の参加者は、主に4つのカテゴリーに分類できる。誰が、どの段階で、何をするかを決める目安になるだろう。

 プロジェクトマネジャーは、プロジェクト全体の責任者だ。妥協点を提案し、変更が承認されたら、履歴表示のないクリーンな原稿を作成して編集プロセスを進める。

 ライターは、言葉を正しく戦略的に用いて、読み手をひきつける専門的なテクニックがあり、文書の構造、トーン、言葉遣い、口調を監督する。他の参加者にも有能な書き手はいるかもしれないが、ライターとしての才能を効果的に活用するためには、グラフィックデザインやデータビジュアライゼーションのように、ライティング能力を明確なスキルと見なすことが重要だ。

 レビュアーは、対象分野の専門家として情報の正確さを検証する。プロジェクトに関与する他のチームを代表して参加するレビュアーは、チームに報告する立場であって、同じ分野の専門家が複数レビューを行うことを避ける。

 承認者は、組織内での役割や、バイラインに名前が記される可能性があることを考えて、承認する権限のあるエグゼクティブが担当する。彼らが正確さや文章のトーンを最終的に編集して、最終的な承認を与える。つまり、プロセスの最後に仕事をする。承認者をレビュアーと混同しないこと。2つは別の段階であり、承認者は通常、レビュアーの判断を却下する権限を持つ。

 自分が参加しているプロセスにおいて、自分の役割をわかっていないことも珍しくない。プロジェクトマネジャーは、「正確さを『レビュー』してください」「『承認』の際は添付文書を参照してください」といったメッセージを通じて、それぞれの役割を明確に伝える。

 ●クリーンな原稿を基準にする

 最初のレビューを行う人数は最小限にする。優秀なライターが1人と、そのテーマの専門家が1人。正確で優れた文章の元原稿を基準とし、編集には常にそれを反映させる。優れた文章と正確な情報という基準がないまま始めると、最初から致命的な欠陥があっても、後から修正するのに苦労する。

 少人数のチームで議論、編集、歩み寄りを経て、クリーンな(つまり変更履歴のない)バージョンを作成し、レビューに回す。クリーンなバージョン、すなわち「赤字を消した」状態の原稿を、充血を解消する目薬にちなんで「バイシン・バージョン」と筆者は呼んでいる。取り消しの赤線で埋め尽くされたものより読みやすく、編集しやすいはずだ。

 ●レビュアーの役割を逸脱しない

 レビュアーは、自分をそのテーマの専門家というだけでなく、全体的な校閲も担当すると考えがちだ。もちろん、テーマの正確性に関する彼らの提案は受け入れるが、言葉、スタイル、口調、文章の構造に関する最終的な決定は、ライターと最終承認者が行うことを明確にする。

 レビュアーが極力その役割を逸脱しないように、文書全体ではなく、専門的なレビューに関連する部分だけを見せるようにする。何らかの理由で再レビューが必要になった場合も、その内容を含む関連部分だけを提示する。

 ●委員会をつくる

 グループレビューの列車は、「すべての人がすべてをレビューしている」状態では先に進めない。特定のセクションを担当する少人数の委員会や、組織の上位にいる人が後でレビューをするための一次編集を行う委員会をつくろう。複数の委員会を専門分野ごとにグループ分けする。たとえば、第1グループはディレクター、第2グループはバイスプレジデントというように組織の階層で分けることもできる。レビューを行うグループの人数が少ないほど、効率的に運営できるのだ。

 筆者の職場では、グループ編集に招かれたシニアエグゼクティブが自分のチームに、「皆さんが取り組んで、最終的なドラフトだけを私と共有してください」と言うことも少なくない。こうしたアプローチは、マイクロマネジメントや過剰なコメントを回避するために効果的だ。委員会にシニアエグゼクティブと中間管理職の両方がいる場合は、ためらわずこのやり方を提案しよう。

 ●論争の仲裁はプロジェクトマネジャーに任せる

 理想としては、レビューの参加者同士が論争はもちろん、細かい議論をしないことが望ましい。問題を特定して、解決するための提案や妥協点を提示するのは、プロジェクトマネジャーの仕事だ。筆者は少人数のレビュアーチームに、「それぞれが編集したものを私に送信してください、私が調整してクリーンな原稿にします」と伝えるようにしている。

 ファイルのコメント欄でさまざまなやり取りが交わされるかもしれないが、論争に対処して、関係者に修正内容を伝え、更新されたクリーンなバージョンを共有するという最終的な責任を負うのは、プロジェクトマネジャーだ。