●理解:内省する

 まず、あなたが経験していること、それが仕事のパフォーマンスや職場での振る舞い、その他の状況に与えているインパクトを考える。

 そのインパクトは、どの程度の期間続くのか。急激に高まるが数日で消えてしまうか、もう少し期間は長いが一過性の問題か、あるいは慢性的な状態か。仮に慢性的でない場合は、何がその症状の引き金になるのか考える。仕事関係か、何かプライベートでの出来事か、あるいはもっと大きなストレス要因があるのか。

 私の場合、最低限の振り返りによって、これらの要因が明らかになった。数カ月前に、新しい仕事を始めたばかりだったこと、そしてチームが人員不足だったこと。生まれて初めて、自分に求められたことすべてに対応できないという経験をしていた。

 さらに、抗不安薬の服用をストップしたこと、長い通勤時間のために定期的なセラピーを受けられなくなったことも重なった。すべての状況を考えれば、もっと頻繁にセラピーに通っておくべきだったのだ。

 有能で陽気な同僚だった私は、まともな働きもできない、よそよそしい人間になっていた。そう自己分析するのに、長い時間はかからなかった。

 ただ、もっと複雑な事情があって、家族や友人、セラピストと話すことで状況をうまく把握できる人もいるかもしれない。

 ●決断:コンテクストとリソースを考える

 すぐに便宜を図ってもらえるように、会社に自分の状況を説明しておけばよかった。あるいは、会社が柔軟な働き方を推進していて、わざわざ便宜を図ってもらう必要がなければよかった。

 平日にセラピーに通う許可さえもらえていればよかったのだが、これは長い通勤時間を考えると、やっかいな問題だった。セラピーに通えば、週1回出社時間が遅くなるか、毎週金曜日に在宅勤務することになる。後者は、入社後6カ月以上経過した従業員にしか認められていなかった。

 しかし、私は自分自身で抱いていたスティグマと、上司はどう思うだろうという根拠のない不安から、このシンプルな調整を図ろうとはしなかった。もし会社を抜け出さなければいけない理由が「週1回のアレルギー注射」といった身体の健康上の理由であったら、状況は違っていただろうかと思うこともある。

 当時、職場におけるメンタルヘルスの問題は、ほとんど認識されていなかった。メンタルヘルスについてオープンに語られることはなく、職場での対処法について研修を受けているメンバーもいなかった。

 いまは、会社や人事部門、あるいはマネジャーが、従業員のメンタルヘルスをサポートしてくれるかどうかを判断する指標がいくつかある。

 まず、会社の文化について考えてみよう。あなたの会社のリーダーは、メンタルヘルスについて話したことがあるか。職場におけるメンタルヘルスに関する研修があるか。メンタルヘルスに関する従業員リソースグループ(ERG)が存在するか。

 次に、あなたの上司が安全で協力的な人物か考えてみる。あなたのマネジャーは、自分のメンタルヘルスや個人的な問題について話したことがあるか。上司がそのレベルまで自分をさらけ出していれば、信頼関係を構築し、有効な対応をしてくれるかどうかを判断できる。

 あなたのマネジャーは、定期的な運動や睡眠、休暇の取得など、メンタルヘルスを維持するための行動モデルになっているか。これは、あなたが誰に、どれだけ自分の状況を打ち明けるかを判断する助けになる。

 そのうえで、従業員として法的に得られる保障範囲と福利厚生について学ぶことも大切だ。たとえば米国では、15人以上の従業員を雇用する事業者は、合理的な便宜を図る法的義務がある。

 リソースや法的な保障範囲は地域によって異なるため、できる限り、地元の法令を調べる。そうすることで、上司や人事部門の対応が不十分な場合に、自分の権利を主張することができる。

 最後に、それ以外に何か役立ちそうなリソースやサポートがないか考える。それは、メンタルヘルスケアや正式な制度を利用したりすることかもしれないし、もっと単純なものかもしれない。

 こうしたリソースの「オーナー」は誰か。人事部門、上司、あるいは他の誰かかもしれない。自分の状況を打ち明けることによって、何を達成したいか目標を考えよう。