(5)どのタイプの会議が最もインクルーシブか

 筆者はジョージタウン大学でエグゼクティブ・サーティフィケート・イン・ファシリテーションを創設し、ディレクターを務めている。これは同じ立場のエグゼクティブ同士が学び合うプログラムで、4カ月にわたって月1回、参加者が席を同じくするものだ。

 筆者自身、コロナ禍前までは、このプログラムは対面で行う必要があると信じて疑わなかった。プログラムに参加するシニアマネジャーやエグゼクティブは、毎月3日間続けて開かれるセッションのために、世界中からキャンパスに集まっていた。

 プログラムの成功には、参加者同士が互いに深い絆で結ばれることが欠かせない。何と言っても、彼らには集団に信頼の絆を築く方法を教えているのだ。筆者は10年以上前からリモートでワークショップを行っているが、特にこのプログラムについては、リモートに転換できるとは思っていなかった。

 だが、その考えは間違っていた。実際、バーチャル形式の最大の利益の一つは、そのインクルージョンの高さにある。

 米国以外、あるいは西海岸から参加しても、ジェットラグに悩まされない。また、プログラム参加費は所属組織が負担するが、渡航費や宿泊代は個人負担という人にとっては、経済的ハードルがなくなる。そして、小さな子どもを持つ母親の参加が、かつてないほど増えたのだ。

 だからといって、対面で会えないことに喪失感がなかったわけではない。しかし、プログラムには多くの目的があり、多種多様なアクティビティ、つまりタスクがある。なかでも、デザインやチーム開発に関する手法に重点を置いたタスクは、オンラインで行うことが極めて有効だ。

 今後は4つのモジュールのうち、2つを対面で、2つをバーチャルで実施する予定にしている。これは、いままでのハイブリッドとは異なる、よりインクルーシブな方法だ。つまり、対面の参加者とリモートの参加者が混在するのではなく、全員が同じ条件にいることで、参加者それぞれの貢献、そして対面とオンラインというそれぞれの形式で得られる恩恵を最大化できる。

(6)ファシリテーターにハイブリッド会議を成功させるスキルとテクノロジー環境があるか

 オフィス再開直後は、リモート勤務者のためにハイブリッドの選択肢を残しつつも、対面で会議をしたいという強い誘惑に駆られるものだ。それぞれがもっとも都合のよい場所から参加できるように準備を整えて上手に行えば、それは優れた解決方法になりうる。

 だが、ハイブリッド会議のファシリテーションには、特別なスキルが必要だ。方法を間違えれば、リモート参加者の貢献をじゃまする、あるいは排除してしまう場合さえある。

 ハイブリッド会議のスキルに熟練したファシリテーターは、ズームから参加している人にも「れっきとした参加者だ」と思わせる。参加者全員がインプットできるようにプロトコルも徹底する。会議室にいる参加者にだけでなく、カメラに向かってもアイコンタクトを送るのだ。

 テクノロジー環境や事前準備も重要になる。コロナ禍前、筆者の同僚は、対面で集まる会合の進行役として、やる気十分でニューヨークのホテルに現れた。彼女は現地に着いて初めて、数人の参加者がオンラインで参加することを知った。その場でできる限り対応しようとしたが、用意していたのは、会場内を動き回る、体を使ったプログラムだった。

 それを、そのままバーチャル環境に落とし込むことはできなかった。少なくとも、用意されていたテクノロジーでは無理だった。対面の参加者は最後まで集中して取り組んだが、会合が終わるまでに、バーチャル参加者のカメラは1つ残らずオフになっていた。

 会議の運営者がハイブリッドファシリテーションの技術を身につけ、テクノロジー環境が整うまで、会議はすべてバーチャルで行うことを検討すべきだ。たとえ多数の参加者がオフィスからズームで参加することになったとしても、そのほうがよい。

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 この15カ月の間に克服してきた物事を考えれば、私たちが仕事と生活、その両者のつながりに関して、苦労の末に手にしたありとあらゆる経験則を活かさないのは、とても残念なことだ。時間、テクノロジー、一体感に関する新たな視点に基づいて、自分たちの働き方、とりわけ集い方を見直したい。


"When Do We Actually Need to Meet in Person?" HBR.org, July 26, 2021.