SXとDXは車の両輪である

──DXもCEOアジェンダであるとよくいわれます。SXとDXの関係については、どう理解すればいいですか。

坂野 SXは企業の存続を懸けた究極の生き残り戦略であり、DXはそれを実現するためのイネーブラー(目的の達成を可能にするもの)です。たとえば、現在の技術でCO2の排出を実質ゼロにすることは難しく、半減させるだけでも莫大なコストがかかってしまいます。

 あるいは、2050年に世界人口が100億人に達すると予測される中で、飢餓が起こらないように食糧を生産し、食品産業が原材料を調達し、かつ自然環境に過剰な負荷を与えないようにするためにはどうするか。そうした難題にわれわれは次から次へと直面していくことになります。

 それを解決するには、イノベーションやDXが必須であり、逆にSXがイノベーションやDXを促進する大きなドライバーになる。SXとDXはそういう車の両輪のような関係です。

磯貝 これからのイノベーションをけん引していくのは、サステナビリティネイティブといわれる若い世代の人たちです。若い人たちにとって、30年、50年先の未来がどうなるかは、まさに自分事ですから、そういう方々を引きつける北極星を定めている組織でないと、イノベーションを起こすことは難しくなっていくでしょう。

 先日、あるベンチャー企業のCFOと話した際、「当社はサステナビリティを実現するために創業した、ナチュラル・ボーン・サステナビリティの会社だから、SXは必要ない」とおっしゃっていました。

 そういう企業が新しいイノベーションやビジネスモデルで社会課題を解いていく場面は今後どんどん増えていくはずです。同時に、既存の大企業は一刻も早くSXを進め、環境や社会にプラスのインパクトを与えていく。その両輪が回ることで、社会全体のSXが実現されていきます。

坂野 サステナビリティ経営には、サステナビリティ推進のドライバーと、経営判断を行う時間軸に基づき、外発的対応が起点となっている「インシデント型」と「外部要請型」、内発的に対応している「未来志向型」と「ミッションドリブン型」の4つの型があると私たちは定義しています(図表)。

 真のサステナビリティ経営といえるのは、内発的対応の2つの型ですが、大企業で主体的にSXを推進しているのは未来志向型、ナチュラル・ボーン・サステナビリティの会社はミッションドリブン型に分類できます。

 未来志向型とミッションドリブン型が互いに孤立するのではなく、インタラクションを持ちながらイノベーションを起こしていくことが、社会全体のSXにつながります。ですから、未来志向型とミッションドリブン型の企業を結び付けていくことが、私たちの大きな役割の一つだと考えています。

磯貝 過去の延長ではない新たな未来をつくっていくことがサステナビリティ経営です。自分たちがこうあるべきだと考える未来という一点を見つめて、SXに取り組んでいただきたい。それに対して私どもは全力でご支援していきたいと心から思っています。

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