●閉鎖的空間とオープンスペースの使い方を逆転する

 オフィスのオープンスペースを見直すべき時がきた。

 ここ数十年、個人のワークステーションを廃止し、従業員が隣り合って作業するオープンスペースがオフィスに増える一方で、ミーティングは閉鎖された会議室で開かれるスタイルが定着してきた。

 出社勤務が再開されるにあたり、こうしたデザインも変化していくだろう。ミーティングは可動型の仕切りがあるオープンスペースで行われ、1人で集中したい時はワークポッドやエンクレーブなど極小の閉鎖的空間が使われるようになる。

 オープンなコラボレーション空間は、本質的に柔軟性が高い。固定された造作がないため、新しい仕事のパターンに合わせて形を変えることができるからだ。

 イノベーションや問題解決、コ・クリエーション(共創)は、アジャイルなアプローチによってなされることも多い。たとえば、いつも使っている視覚的コンテンツを見ながら、オープンスペースで立ったまま行われる短時間のミーティングは、柔軟性のあるオフィス家具や、すぐに使えるテクノロジーなどのデザイン要素によって可能になるだろう。

 一方、個人の作業空間は、在宅勤務を経験した従業員が期待するようになった視覚的・音声的プライバシーを提供できるように、これまでよりも閉鎖的なものにする必要がある。

 いまや、どこにいてもビデオ電話はかかってくる。そのためモニターやパネルやポッドといった囲いがあることで、仕事に集中し、気が散る要素を軽減できる。

 ●固定から流動へのシフト

 建物は耐久性を目的に構築されているが、ビジネスと変化のペースは加速し続けている。

 ポップアップショップやコワーキングスペースの増加は、これまでよりもリース期間の短い物件の需要が高まっている証拠であり、長期的に評価するという従来のニーズとの間の緊張関係を示すものだ。不動産を保有する企業のほとんどは、「どの程度のスペースが必要なのか」を自問している。

 未来のハイブリッドワークは、ニーズの変化に柔軟に対応できる流動的な職場を求めるだろう。それにはイノベーションを加速して、組織文化を進歩させるだけでなく、不動産の恒常的な最適化も必要になる。

 筆者のキーンが経営するスチールケースでは、午前中はハイブリッド会議、昼食時間はカフェ、午後にはタウンホールになり、夜はイベントに貸し出すことができるオープンスペースをデザインすることで、こうした最適化を実現してきた。