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意思決定は、いかなる状況下でも難しい。だが、誰にも相談できず、自分一人で決断しなければならないのは、経営者だけではない。働く親、特にひとり親の場合、同じ状況が当てはまる。家族のすべてが自分の肩にかかり、孤独や疲労、そして感情の問題が重なれば、適切な判断を導き出すのはますます困難になる。筆者はエグゼクティブとのコーチング経験から、彼らが実践しているセルフマネジメントの手法を、子育て中の親も取り入れることを推奨する。子育てに悩む親はどうすれば、よりより判断ができる状況をつくれるのか。その具体的な方法を紹介する。


「トップは孤独だ」

 この言葉はシニアエグゼクティブの間で共感を呼ぶことが多いが、該当するグループがもう一つある。働く親、なかでも一人で子どもの世話をしている人たちだ。そして、この言葉が特に当てはまるのが、厳しい選択に直面した時である。

 経営者もひとり親も、人に相談できない決断を迫られる。経営者の場合は全員に利害関係があるからだが、ひとり親の場合は周りに他の大人がいないからかもしれない。

 意思決定は、いかなる状況下でも難しい。そして、私たちは1日を通じて、絶えず意思決定を行っている。

 顧客、同僚、文化、会社に対する責任がすべて経営者の肩にかかっているのは、家族が親の肩にかかっているのと非常に似ている。そこに孤独、疲労、感情、そして混乱した環境が加わると、その仕事はいっきに困難さを増す。

 子どもをどの託児所に預けるか、健康問題にどう対処するかといった大きな決断も、どの課外活動を選ぶか、ランチに何を持っていかせるかといった比較的小さな決断も、考えることには労力がいる。

 この2つのグループが直面する選択の性質は異なるが、確固たる決断にたどり着くためのプロセスは同じだ。孤立した状況や高いプレッシャーの中で、感情やストレス、そして全般的なウェルビーイングを管理することも含まれる。

 時間がなく、明確な判断ができない時、自分が最も影響を及ぼすことができるのは自分自身だ。意図的に自分をクールダウンさせることで、脳が一時停止し、熟考して、目の前の問いに最適な答えを導き出すことができる。

 筆者は経営者と仕事をする中で、トップエグゼクティブがよりよい決断を下すために5つのセルフマネジメントを実践していることを見出した。それらは、子育て中の親にも適用できるものだ。以下に紹介しよう。