(5)偽情報と戦う

 ヒューストン・メソジストは、コロナ禍を通して偽情報と戦い続けてきた。スタッフ集会とメールのメッセージでは、最新の科学的情報を提供し、デマを見つけて訂正するよう努めた。職員からのフィードバックによると、こうした透明性の高いコミュニケーションは職員に高く評価されていた。

(6)手本を示す

 マネジメント職以外のスタッフにワクチン接種を求める前に、まずマネジャーたちが接種する姿を見せる必要がある。ヒューストン・メソジストでは、幹部とマネジャーたちのワクチン接種完了期限は、全職員向けの期限よりおよそ2カ月早く設定した。

(7)ワクチン接種率をモニタリングする

 ワクチン接種率の推移をモニタリングして、その情報を職員に知らせることにより、ワクチンポリシーが公正に適用されていて、それを組織として重視していると示すことができる。医療従事者は、同僚たちがワクチンポリシーに従っているのを目の当たりにすると、自発的にワクチン接種を受ける可能性が大幅に高まるとわかっている。

 この点は、私たちが過去にワクチン接種を義務付けた際の経験からも明らかだ。2009年、私たちは今回と同じプロセスを経て、インフルエンザ・ワクチンを毎年接種することを義務付けるものと決めた。職員はすべてこの方針に従い、職員の心理にも悪影響は及んでいない。従業員エンゲージメントのスコアは、長年にわたり97%を上回っている。

 ヒューストン・メソジストのワクチン接種義務付けは職員に過度の要求をしていないか、同様の方針を自社で採用した場合に自社の従業員に過度の要求をすることにはらないか――そのような心配をする人もいるかもしれない。

 しかし、私たちが思うに、最優先すべきは職員と患者と地域コミュニティの安全を守ることだ。組織は、避けることのできる害を防ぐように努力しなくてはならない。そうした危険の中には、言うまでもなく、命にかかわる感染症の感染を防ぐことも含まれる。

 ヒューストン・メソジストでは、そうした目標のための努力を怠れば、組織として信奉する価値を疎かにしていることになる。私たちが大切にしている価値とは、誠実(integrity)、共感(compassion)、敬意(respect)、説明責任(accountability)、卓越(excellence)である(それぞれの頭文字を取って「I CARE」と呼んでいる)。あなたの組織でも、従業員のワクチン接種を義務付けることは、組織が信奉する価値と強く合致しているのではないだろうか。


"How to Develop a Covid-19 Employee Vaccination Policy," HBR.org, July 01, 2021.