では、2021年の善意あるブランドは、ますます見る目を養っている消費者の支持を得るために、何をすればよいのだろうか。

 まず何よりも、プライドをテーマとしたマーケティングを、LGBTQ+の置かれた状況を真に改善することを中心に据えた取り組みにいますぐ置き換えることを、筆者は強く勧めたい。

 もともと虹色のソフトキャンディ「スキットルズ」をプライド月間に向けて真っ白にしたりマウスウォッシュ「リステリン」のボトルを虹色に変えたり商品に「プライド」という言葉を散りばめたりする前に、LGBTQ+コミュニティに本当の意味で長期的なインパクトを与えられることは何かを考えるべきだ。そのために、いくつかヒントを紹介しよう。

・自社のプラットフォームや商品、コミュニティを利用しているLGBTQ+のクリエイター、ユーザー、パートナーの作品に光を当て、その大義を高め、差別のない経験を保証することで、彼らをサポートする。

・自社のLGBTQ+の従業員をサポートする、進歩的なポリシーとプロセスを構築する。たとえば、性同一性障害など性的違和を抱える従業員に対するヘルスケアサポート、ジェンダー転換に関するガイドライン、同性カップル向けの有給育児休暇などが挙げられる。こうしたポリシーやプロセスを設計する際には、現在のトレンドを認識することが欠かせない。LGBTQ+の人々はこれまで以上に、男性か女性か二元論で考えるジェンダーバイナリーに異議を唱え、婚姻によらないパートナー関係を築き、古き「ゲイ」のイメージを超えたライスタイルをつくり上げている。

・LGBTQ+のアドボカシーを、人種やジェンダー、能力など他の社会的アイデンティティに関わるアドボカシーと統合し、プライド月間中もそれ以外の期間も継続的に連携を図る。

・プライド月間に限定して寄付を行ったり、協力関係を結んだりするのではなく、年間を通じてLGBTQ+コミュニティとその大義に貢献し、連携することに投資する。とりわけ、黒人、先住民、非白人(BIPOC)の性的少数者を中心とするコミュニティを支援する。

・企業としての権限と影響力を利用して、1年12カ月を通じて、LGBTQ+を擁護する。同性愛者やトランスジェンダーに対して偏見や差別のある組織との取引を拒否したり、LGBTQ+の権利と保護を拡大するロビー活動に参加したりすることもできるだろう。

 2021年のプライド月間を終えて、余ったレインボーグッズを倉庫行きにしようとしている企業は少なくない。プライドパレードに自社のフロートを出走させ、1カ月にわたる募金活動も行った。レインボーマーケティングも実施し、これでLGBTQ+コミュニティに対する2021年分の義務は果たしたと、企業のリーダーは考えているかもしれない。しかし、それは違う。

 筆者の助言を聞き入れるかどうかはともかく、理解しておいてほしいことがある。2021年、企業がLGBTQ+コミュニティから十分だと認められるレベルは上がった。そしてレインボーマーケティングに、かつてのような効果は見られない。

 2022年は、レインボーのロゴを利用しないことを検討しよう。代わりに、現時点から2022年6月までの行動によって、LGBTQ+コミュニティーへのコミットメントを示すのだ。

【編注】
クィア(Queer)とは、もともとは「風変わりな、奇妙な」といった意味を表す言葉。かつては同性愛者に対する侮蔑表現として使われていたが、性的少数者全体を表す用語として肯定的な意味で使われるようになった。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の枠組み以外にも、さまざまな性的少数者が存在することを踏まえてクィア、もしくは自分の性別や性的指向がわからないクエスチョニング(Questioning)の頭文字「Q」を加えた「LGBTQ+」として、性の多様性が表現されている。


"Your Rainbow Logo Doesn't Make You an Ally," HBR.org, June 30, 2021.