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DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)に関する取り組みを掲げる企業は増えているが、実現には遠い。そこで、物心ついてからずっと、ソーシャルメディアを通じて社会運動や政治議論に触れ、DEIを当然の価値観として受け入れてきたZ世代の本音に耳を傾けることがカギとなる。いずれコーポレートアメリカの中心を担うZ世代、なかでもマイノリティに属する若者は、何を求め、何に価値観を置き、何を実現しようとしているのか。彼らの意思決定プロセスを知ることは、DEIのみならず、未来に向けて組織をどう進化させていくべきかを見極める羅針盤になるはずだ。


 大学最後の1年間は、本来なら人生最高の時になるはずだ。だが、私たち2021年卒の学生は、コロナ禍による厳格な制限に従わなくてはならなかった。道のりは理想的なものではなかったが、私たちは卒業までこぎつけ、社会人になろうとしている。

 バーチャル就職活動の結果、ごく少数の幸運な学生は複数のオファーを受け取った。みなさんが「トップタレント」と呼ぶかもしれないこのグループの悩みは、就職できるか」ではなく「どこで働こうか」だ。私たちは、この1年間失っていた自己決定権を取り戻そうとしている。

 現役世代と未来の世代のために、みなさんがダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂)のある素晴らしい職場をつくりたいと思っていることは、私たちも知っている。とはいえ、なぜそれを実現するのが難しいのか、みなさんが率直なフィードバックを得る機会は少ない。

 そこで、みなさんのために、そして自分たちのために、私たちZ世代の意思決定プロセスがどのようになっているのか、あまり知られていないことをお伝えしたいと思う。

 ●いまだに「ダイバーシティはビジネスにも利益をもたらす」と主張する会社は、Z世代向けではない

 大学1年生の時、投資銀行が主催したマイノリティ向けイベントに参加したことがある。イベントではリクルーターが、その会社の採用チームがダイバーシティの実現に向けて、いかに努力しているかを話してくれた。

 当初は、多様でインクルーシブな職場を構築することに関して、社内で十分な支持や予算を確保するのに苦労した。だが、ダイバーシティが業績にも好影響を与えることを示す強力な証拠が見つかると、社内の状況は一変したという。

 リクルーターは、そんなつもりでこの話をしたのではないと思うが、それを聞いて私たちが思ったのは、この会社はDEI(ダイバーシティ、エクイティ〈公平性〉、インクルージョン)に関して、それが正しいことだからではなく、利益に直接つながることが示されて初めて動き出した、ということだ。つまり、利益拡大に直結しなければ、私がアイデアをもたらしても評価されない可能性がある。

 イベント終了後、私はその会社への就職を考えるのをやめた。一緒に参加した仲間の一人は「自社の人間を大切に思うなら、自社の人間が大切に思うことを大切にすべきだ」と言っていたが、その通りだ。