その理由は、筆者にもよく理解できる。筆者の場合、アクセンチュアに入社して5年後に、多発性硬化症(MS)の診断を受けた。だが、それからほぼ10年間は、その事実を知っている人の数を最小限に抑えていた。

 基本的には直近の家族、最も親しい友人、そして秘密を守ると約束してくれた、ごく少数の職場の同僚だけだった。それ以上の親戚や友人、同僚には心配されたくなかったし、何よりもそれまでとは違う扱いをされたくなかった。

 仕事の面では、多発性硬化症のせいで突然「能力が低下した」と、職場の人たちに思われたくなかった。同僚から、困難な仕事は引き受けられない、全力を注げないと思われるのはどうしても避けたかった。

 それから17年が経ち、この神経疾患症状とその潜在的影響を隠すこと自体が、筆者の仕事に大きな問題を引き起こしていることに気づき始めた。不安レベルが高まる一方で、自信とエンゲージメントのレベルは低下していった。また、仕事のスケジュールを通常あまりない形で柔軟にする必要がある時には、同僚の理解を得られずにいら立つこともあった。

 お伝えしておきたいのは、多発性硬化症と診断された当初は、アクセンチュアが障害者に対してもインクルージョンを約束していることを、筆者がほとんど知らなかったことだ。アクセンチュアはその後も、あらゆる側面でよりインクルーシブな会社になるため、長きにわたり多大な努力をしてきた。筆者は、自分がこの会社に勤めているのは幸運なことだと思っている。

 しかし、より広範に見た時には、さらに重要なポイントがある。すなわち、企業も従業員も、障害に関する考え方や会話を恒久的に変化させる必要があるという点だ。

 筆者らの調査では、職場で自分の障害について明らかにしている従業員は、障害を隠している従業員に比べて、キャリア満足度や希望、自信、帰属意識の観点から、仕事へのエンゲージメントが30%高いという結果が出ている。

 障害のある従業員が、安心して自分の障害について公表できると感じられる文化を醸成するには、企業はどのような措置を講じるのが最善なのか。筆者らの調査から、その問いに対する答えが明らかになっている。

 調査では、職場文化における200以上の要因のうち、従業員エンゲージメントに最もインパクトを与える要因についても検証を行った。その結果、障害のある従業員の場合、特に8つの要因が際立っていることが明らかになった。

 興味深いことに、そのうちの5つは、障害のある従業員が障害について安心して打ち明けられる環境と高い相関関係にあることが示された。筆者はそれに大いなる共感を覚えた。それらの要因を以下に紹介しよう。