●コラボレーション

 リモート環境では、組織内で知識を広く共有することが難しくなる。情報共有はたいてい、オフィスで日々を過ごす中の何気ない短い会話を通じて行われるからだ。

 しかし、在宅勤務の場合には、すべての交流があらかじめスケジュールに組み込まれる、あるいはテキストメッセージに取って代わられる。どちらも余計な労力がかかるため、全員が同じオフィスで働いている場合に比べると、気軽に質問をしたり、非公式に知り得た情報を共有したりする頻度は下がってしまう。ズーム疲れという現象を考えれば、なおさらだろう。

 オフィスという物理的に同じ空間で働くことで、プロジェクトを前進させるセレンディピティ、すなわち偶然の出会いの瞬間がもたらされる。

 ある問題について考えている最中に同僚に出くわし、たまたま尋ねてみたことが、意外な解決法の発見につながるかもしれない。何人かの同僚とコーヒーを片手に交わした雑談が、新たな製品やサービス誕生のきっかけになることもあるかもしれない。あるいはタスクと奮闘する同僚にあなたが何かしらのヒントを与えることで、大幅な時間短縮につながることもあるだろう。

 こうした偶然は、実際に起きるまで気づかないかもしれないが、会社の成功だけでなく、個人の成功に有意義かつポジティブな影響を及ぼす可能性がある。

 効率よく働くことは従業員の生産性向上につながるため、組織にとって好ましいのは明らかだ。しかし、自由にコラボレーションできる環境は、個人にも恩恵をもたらす。職場に親しい同僚や友人がいると、仕事に対する満足度が高まるのだ。

 また、コラボレーションできる良好な人間関係は、仕事に関するフラストレーションを低減する。必要な時に助けを得やすくなり、自分にとっては少々難易度の高い新たなタスクを学ぶ際にも助けてもらいやすいからだ。