●創造的かつ柔軟に仕事を構成する

 コロナ禍があらゆる人たちにダメージを与えている状況で、企業は従業員のウェルビーイングを高めるための支援を行い、ストレスを和らげ、特にメンタルヘルスを改善するために積極的な取り組みを実施する必要がある。

 しかし、燃え尽きに対処するためにひときわ重要なことを忘れてはならない。「長時間労働が当たり前になっている状況に終止符を打つ必要があります」と言うのは、チャイルド・マインド研究所のシニアディレクターを務めるステファニー・リー医師だ。

 コロナ禍以前、多くの企業は、常に仕事モードでいて、いつでも仕事上の要求に応じられる体制を取るのが当然だという規範に基づき行動し、オフィスに長時間滞在して働く人が優遇されていた。このような状況下では、シングルペアレントは極めて不利な立場に置かれていた。

 しかし、コロナ禍をきっかけに、そのような規範は崩れ去った。コロナ後の時代に向けて準備したい企業は、ミッションとパーパスを軸に仕事を再構成すべきだ。つまり、仕事を行う場所と時間を問題にするのではなく、いつ、どこで、どのように働くかについて、もっと従業員の自由と裁量を認めるべきなのだ。

 働く時間と場所に関する自由と裁量を拡大すべきなのは、リモートワークやフレックスタイム、ハイブリッドワークで働くホワイトカラーだけではない。時給で働く小売り・サービス業労働者に関しても、いつ勤務するかを事前に予測しにくいスケジュールのあり方を改めるなどの変革を行うべきだ。

 いずれの取り組みも、シングルペアレントが仕事と私生活のバランスを取る際に感じる緊張と燃え尽きを緩和するうえで、大きな効果が期待できる。

 フレックス+ストラテジー・グループの創業者カリ・ヨストは、シングルマザーに育てられた経験の持ち主だ。ヨストによれば、コロナ禍以前、多くの企業はフレックスワークを拒んだり、一貫性のない形で許容したりするだけだった。フレックスワークを実践する場合も、それをうまく機能させる方法について、ほとんど、もしくはまったく研修が行われていなかった。

 しかし、コロナ禍をきっかけに、誰もが創造性を発揮することが求められるようになった。「いま企業は有効な方法論を共有し、こう問いかけるべきです。『コロナ禍で学ばざるをえなかった創造的な教訓の中で、その後も役立つものはないのか』」と、ヨストは述べている。

「企業は、創造性を発揮して、強力で柔軟性のある形で従業員との関わり方を決めて、それを実践しなくてはなりません。それができればシングルペアレントだけでなく、すべての従業員に恩恵が及ぶでしょう」

 近著The Burnout Epidemic(未訳)の著者であるジェニファー・モスなど、ワークプレイス研究の専門家たちによれば、どのような働き手に関しても、燃え尽きの問題に職場で対処するうえで重要なのは、マネジャーが働き手のモチベーション、試練、やりがいのある仕事に取り組む機会に注意を払うことだという。

 加えて、企業は職場の「衛生要因」も重んじるべきだ。具体的には、給料、手当、会社の方針、仕事の環境が公正で、仕事上の人間関係が健全であるようにする必要がある。

 ●勤務時間とそれ以外の線引きをはっきりさせ、休憩と休息を取る

 シングルペアレントも含めて、多くの人はコロナ禍の中で、家でパンを焼いたり、新しい趣味を始めたりするのではなく、単に仕事の時間を増やした。その結果、燃え尽きに向かって一直線で突き進んでいる人が多い。

 このような状況では、企業は有給休暇制度を拡充し、従業員が仕事以外の時間を持てるようにしたり、有給の家族・看護休暇、病気休暇、旅行休暇の制度導入に向けた公的な取り組みを支援したりすればよい。

 また、コロナ禍の期間に従業員が消化できなかった有給休暇の扱いについて自社の方針を徹底的に検討し、従業員が不利益を被らずに休暇を取得できるようにすることが重要だ。そして自社のマネジャーたちには、部下に率先して休暇を取得するように促すとよい。