●シングルペアレントを採用し、昇進させる

 コロナ禍の中で多くの女性、とりわけシングルマザーが仕事を辞めたり、勤務時間を減らしたりせざるをえなくなった。企業はそのような女性たちを再び雇う努力をすべきだ。また、コロナ禍の中でケアの役割を担わなくてはならなかった人たちを不利に扱うのではなく、彼らの仕事を正当に評価し、昇進させなくてはならない。

 たとえば、職場の規範のほとんどは、時代遅れの「理想の従業員」像に基づいている。すなわち、いつでも仕事上の要求に対応できることが当然とされているのだ。その結果、家庭でケア労働を担わなくてはならない従業員、なかでもシングルペアレントは、スケジュールの「調整」が必要とされる地位の低い従業員だと位置づけられてきた。

 こうした規範を改めなくてはならない。企業は、すべての従業員が家庭でケアの役割を担っていて、仕事以外の人生もあるという前提で、仕事のシステムやプロセスを設計すべきだ。

 採用選考のプロセスが先入観の影響を受けることを防ぐために、構造化面接を行い、すべての候補者に同じ問いを同じ順番で尋ねるようにし、職務と関係のある問いだけを投げ掛けるようにするとよい。

 また、いつでも仕事上の要求に対応できる「理想の従業員」像を基準に、人工知能で履歴書をふるいにかけている企業は、そのアルゴリズムを修正して、育児がスケジュールに及ぼす混乱を容認するように転換すべきだ。シングルペアレントに関しては、特にそうした配慮が必要とされる。

 ●インクルーシブな企業文化を育む

 どのような言葉を用いるかは重要だ。社内行事の案内をする時は、「カップル向け」だとか「パートナーとご一緒にどうぞ」などといった言葉遣いは避けたほうがよい。「もう一人お誘いいただくのは大歓迎です」といった言い回しをすればよいだろう。

 一方、シングルペアレントが手ごわい仕事や出張を望まないと決めつけるのもやめるべきだ(もちろん、出張はコロナ禍に伴う移動制限が解除されたあとの話になるが)。こうしたことについては、本人に直接意向を尋ねればよい。

 また、シングルペアレントに勤務時間外のイベント参加を求める場合は、手当の支給を検討すべきかもしれない。勤務時間外に家庭を離れるためには、託児サービスの利用などの調整が必要になるからだ。

 シングルペアレントに仕事やキャリアでどのような機会を望むかと尋ねることで率直な対話が可能になると、シングルマザー向けのオンラインコミュニティESMEの創設者であるマリカ・リンドホルムは言う。具体的には、どうすれば会社がシングルペアレントへの支援を充実させられるか、そして、どうすればシングルペアレントである従業員の貢献とスキルをもっと適切に評価できるかを話し合うべきだというのだ。

 マネジャーがシングルペアレントである従業員の近況を尋ねることにより、そうした従業員が気兼ねなく支援を求めやすい状況をつくることを、マネジメント上の慣行とすべきだ。

「重要なのは、家庭と仕事の両立の難しさに配慮すること。そのような問題が存在しないふりをすべきではありません」と、リンドホルムは言う。「そのような話し合いの機会に、シングルペアレントはみずからの困りごとについて語り、マネジャーはシングルペアレントの問題を解決する手立てについて率直に議論できます」