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コロナ禍で在宅勤務が浸透した結果、仕事と家庭の境界線がなくなり、働く親は職場だけでなく、家庭でもリーダーシップを発揮せざるをえない状況に追い込まれた。さまざまに異なる役割を担いながら、同時並行して、仕事にも家事にも子育てにも対処しなくてはならない。どれだけ有能なエグゼクティブでも、この前例のない状況に苦労したことだろう。だが、そこから得られた教訓もあると、筆者らは指摘する。出社勤務再開に向けて準備を進める中、コロナ禍の子育てを通じて学んだ4つの教訓を軸に、リーダーとして新たな仕事環境にそれらをどう活かすべきか論じる。


 筆者のシャンがエグゼクティブコーチングを担当しているクライアントが最近、ざっくばらんに語ったことがある。そのコメントは、この1年間の子育てに関する真実を、見事なまでに表していた。そのエグゼクティブには3人の子どもがいて、夫も同じように忙しいエグゼクティブだ。

「我が家のキッチンが、私のエグゼクティブコーチングの場になるなんて、誰が思ったことでしょう」と、彼女は皮肉めいた言葉を放った。

 詳しく聞くと、食卓の回りで起きたうんざりするような経験を次々と挙げた。子どもたちを学校の勉強にクリエイティブな方法で取り組ませながら、食事の献立を考え、さらに自分の仕事を進めるために、ノートPCではチームとのバーチャル戦略会議に参加している。

「この1年間、自分の世界が崩壊しないように、すべてを統合させておくために学ばなければならなかったことは、本当に大変な試練で、誰にも経験してほしくないと思っています」と、彼女は振り返る。「自分の経験は、多くの働く親に比べれば、まだましなほうだったとわかっています。でも、そこから学んだいくつかの新しいスキルは、今後大いに役に立つと思うのです」

 筆者らは、多忙なエグゼクティブにコーチングや助言を行う専門家であり、この1年間は、クライアントの職場におけるリーダーシップだけでなく、家庭でのリーダーシップについても直接目にしてきた。私たちの多くにとって、仕事と家庭という2つの領域は、ほとんど区別できなくなっている。

 筆者らは、リーダーの有効性や組織戦略に関するコーチングを行うのと同じくらい、家庭で物事の軌道を維持するクリエイティブな方法についても助言をすることになった。結果的には、仕事と家庭の統合は、誰も予想していなかった強力なリーダーシップ・アクセラレーターとなった。

 コロナ禍との戦いに明るい側面はなかったが、多くの働く親が出社勤務再開に向けて準備を整える中、チームをリードし、プレゼンスを維持する方法について、この1年間で学んだ4つの教訓が役立つかもしれない。