●相手に何をすべきか指示しない

 誰かに何かをすべきだと命じるのは、暗黙のうちに相手に対する価値判断を含めてしまう。「あなたはXをすべきだ」という表現は、Xがしかるべき状態だという認識を示唆しているからだ。

 たしかに、あなたがグループの価値観と文化の責任者である場合には、何がなされるべきか、あるいはメンバー同士がどのように接するべきかを極めて明確にすべき時があるだろう。

 しかし、そうした責任者でない場合、特にあなたが相手の上司でない時には、「○○すべき」という表現を使っても、相手はあなたの指示に従いたいという気持ちにはならない。

「○○すべき」と言われると、人は批判されたように感じるものだ。何をするかは自分自身で決めたいのにもかかわらず、あなたのインプットがなければ適切な判断ができないと言われている気がする。

 たとえば、「○○を検討してみてはいかがでしょう」「一つの可能性として、○○という選択肢もあるかもしれません」「○○について考えたことはありますか」といった表現のほうが、あなたが望むような会話をしたり、相手に影響を与えたりできる可能性は高まる。

 ●自分が抱いた感情について相手を非難しない

 あなたが、誰かが言ったことや行ったことに憤慨した場合、感情反応が生じるのは自然のことである。あなたも人間であるからだ。しかし、そうした感情を抱いた原因を相手に指摘しても、何の助けにもならず、むしろ逆効果をもたらす可能性もある。

 たとえば、自分が話し始めた直後に同僚が割り込んできたために、あなたは赤面したり、心拍数が上がったり、何らかの身体反応が生じたとしよう。そうした時には、「あなたが口をはさんできたせいで、私はとても怒っています」と言いたい衝動にかられるかもしれない。だが、実際にそれを口に出せば、議論になる可能性が高い。

 なぜなら、人間は何かの理由で非難されることを嫌悪するからだ。自分の言葉や行動が誰かに害を与えたと非難を受けるのは、特に気に入らない。そのため、それを指摘されても、謝罪したり、行動を改めたりするのではなく、自分が使った言葉とその意図、あるいは自分の性質について弁明する。

 このような場合は、「あのようにすぐに口をはさまれると、自分が軽んじられた気がします(「傷ついています」「怒っています」でもよい)。次からは控えていただけませんか」と言うことができる。

 ほかにも、「口をはさむのは、私の話が終わってからにしていただけませんか」といった言い方もできるだろう。あるいは自分の気持ちについては触れず、目の前のトピックに集中する手もある。