(3)気が散る原因を最小限に抑えるために、意志力ではなく仕組みを利用する

 じゃまが入って気が散ると、タスクを完遂させたり、最も重要な判断を下したりすることに集中できなくなる。気が散るのは、特に打ちのめされた気持ちを誘発する要因になる。なぜなら、プレッシャーの根源に対して、進捗しているとは感じられなくなるからだ。

 ソーシャルメディアのような気を散らす原因となるものを排除するのに、意志力を使おうとすることは、現代最高峰の知性から成る大軍を相手に単独で戦いを挑むようなものである。

 ソーシャルメディアの大軍は、フェイスブック初代社長のショーン・パーカーが「人間心理の脆弱性」と呼ぶ、人の弱みにいかに情け容赦なくつけ込むかに焦点を絞り、人々の注意を少しでも奪おうとする。気が散ることに関して言えば、常に仕組みが意志力を打ち負かすのだ。

 筆者が一緒に仕事をしたリーダーの何人かは、昼間に集中する時間をつくるため、ノートPCのWi-Fi機能を止める時間を設定していた。

 また、30分の時間枠を決めて、チームメンバーが疑問に思っていることを明らかにしたり、指示を仰いだりするために立ち寄れる時間を固定している人たちもいた。そうすることで、1日を通じて、「5分ほど、お時間よろしいでしょうか」と言ってくる人数を劇的に減らしたのだ

 デロイトのCEOを務めたキャシー・エンゲルバートは、立て続けに会議の予定を入れることをやめた。その代わりに、彼女がSMORと呼ぶ「短い内省の時間」を10分間確保するよう、アシスタントに指示を出した。

 このように回復のための短時間休憩を挟むことで、会議の終わりに次の会議の議題について考えたり、会議中にもかかわらず直前の会議の内容を持ち越して考えたりして、気が散ることがなくなったという。

 ここで紹介したすべての事例において、効率化を図ることでさらなるタスクや意思決定、気が散る要因を引き受けることが解決策にはなっていない。

 やるべきことは実に明快だ。簡素化せよ、である。引き受けるタスクの数を減らし、意思決定ではなく原則に従い、気が散る要因をなくす仕組みを設定することである。


"Time Management Won't Save You," HBR.org, A June 23, 2021.